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土工事 どこうじ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

土工事
どこうじ

建設工事における土を対象とした作業の総称。掘削、積み込み、運搬、盛り土、埋戻し、締固め、法面(のりめん)保護工および土止め工などが含まれる。単に土工ともいう。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

沿革

盛り土、アースダムなどの土構造は歴史的にもっとも古くから用いられているもので、古代エジプト、メソポタミア、インダス、中国などに灌漑(かんがい)用ダム、水路や運河の遺跡がみられる。このように土工技術は建設技術のなかでも長い歴史を有するものであるが、施工技術の急速な発展をみたのは、産業革命が進展した近世以降のことである。19世紀ごろから蒸気式の掘削機械やダイナマイトが用いられるようになり、さらに20世紀に入って電動機、内燃機関を用いた高能率の施工機械が出現するに及んで、それまでの人力を主体とした施行方式は機械化施工へと移行していった。とくに第二次世界大戦後の土工技術の発展は目覚ましく、1950年代以降佐久間(さくま)ダムをはじめ大ダムが次々と建設され、これらのダム工事に大型の重土工機械が初めて導入され、その後急速に普及していった。また、土の取扱い方が従来の経験に頼ることから進んで、土質工学の知識が広く施工に活用されるようになったのもこの時期である。さらに1960年代以降、建設事業の活発化とともに、高速道路、ロックフィルダム、大型地下構造物、大規模なニュータウン建設など高度な土工技術を要する大工事が数多く実施された。また、最近では軟弱な沖積地盤におけるきわめて大規模な地下掘削や海洋構造物の建設に伴う海底地盤の掘削など、新たな施工条件への対応が求められるようになった。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

掘削

掘削は、対象とする地盤により、土砂掘削、軟岩掘削、硬岩掘削に大別される。土砂、軟岩ではおもに掘削機械が使用され、硬岩掘削では一般に火薬類を用いる爆破によるのが経済的である。このほか、爆破や機械掘削によらず岩石を破砕する方法として、ウォータージェット、火炎ジェット、膨張破砕、水圧破砕、電磁波照射法などが研究されており、一部には補助的に実用に供されているものもある。掘削機械は、掘削の種類、工事規模、工期、現場条件などに応じて適切な機械を選定する。伐開、整地や広い範囲を層状に削土する場合にはブルドーザー、スクレーパーなどが用いられる。厚い土層の掘削には、掘削機械の代表といえるパワーショベル、バックホウ、ドラグラインなどのショベル系掘削機械がおもに使用される。また、構造物の基礎掘削などにはバックホウ、クラムシェルなどが多用される。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

運搬

土砂運搬作業に用いられる機械には、ブルドーザー、スクレーパーなど掘削と押し土または運搬が可能なものと、ダンプトラックやベルトコンベヤーのように運搬だけに用いられるものがある。また、特殊な運搬工法として、流体輸送や空気圧を利用する方法などもある。運搬機械の作業能率は、運搬距離、稼動範囲の広さ、走行地盤の勾配(こうばい)、土質条件などによって異なるため、機械選定、機械の組合せ、配置、作業順序などを十分検討し適切に定める必要がある。また、施工時には、使用する機械の所要運搬量を確保するために運搬路の整備・維持が重要である。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

盛り土

土構造物の代表的なものは道路盛り土、河川堤防、宅地造成などにおける盛り土構造物である。均質で安定性の優れた盛り土構造物の築造には、現地の地形や土質条件にあった基礎地盤の処理と、盛り土材料の敷きならし、締固めが必要である。盛り土の基礎地盤は、完成後不同沈下などを生じることなく十分な支持力を得るため、不良土や草木などの有害物の除去、湧水(ゆうすい)や集水箇所に排水施設の設置、基面の転圧、傾斜面の段切りなどの処置を盛り土前に講じる。盛り土の安定性を増加させるために締固めは非常にたいせつな作業である。土を締め固めると土粒子間の空気間隙(かんげき)は減り、透水性が低下するため、水浸による軟化、膨張が小さくなり盛り土は安定する。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

法面工

盛り土および切り土によって人工的に形成される斜面を法面という。法面は、工事中にあっては滑り出しや落石などの崩壊事故を起こさないこと、工事完了後は異常気象のもとでも十分な安定性を保つことが必要である。法面勾配、小段の配置などは、切り土また盛り土の高さと土質などを考慮して、法面の安定を確保できるように決定する。また、湧水や雨水から法面を保護するために法面排水工を設け、さらに必要に応じ植生工、コンクリートまたはモルタル吹付け工、ブロック張り工などの法面保護工が施される。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

土止め工

土止め工は、地下構造物の建設に際し掘削時に土砂の崩壊を防ぐために設ける仮設構造物である。山止め工(山留め工)ともよばれる。土止め工は通常、土止め壁とこれを支える支保工とから構成され、背面からの土圧と水圧に抵抗する構造になっている。土止め壁には木矢板、コンクリート矢板、鋼矢板、鋼管矢板、親杭(おやぐい)横矢板、柱列式地下連続壁、地下連続壁などが用いられる。支保の方法には、土止め壁を自立させる自立式、切梁とよばれるH形鋼などの支保材で土止め壁を支える切梁式、およびアースアンカー式などがある。斜面が安定するような良好な地盤で、かつ工事用地が十分にとれるような場合には、土止め工を設けずに法面を形成して開削する場合もある。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

海底地盤の掘削

海底地盤の掘削には一般にポンプ船、グラブ船、バケット船、ディッパー船などの各種浚渫(しゅんせつ)船が用いられる。海底岩盤の破砕には砕岩船を用いたり、水中発破が行われる。水中発破用爆薬には水深の深い所でも使用できる耐水・耐圧性の優れた専用爆薬が製品化されており、起爆方式については通常、水密性のある電気雷管が用いられるが、超音波または電磁誘導による無線起爆方式も実用化している。また、海中構造物の基礎岩盤掘削など高精度の掘削が要求される場合には、大口径掘削機と自己昇降足場の組合せにより基礎岩盤の仕上げ掘削を行う方法もある。さらに近年、沖合いの水深の大きい海域まで施工領域が拡大される傾向にあり、遠隔制御式の海底土工作業用機械や大水深用作業船などの開発も進められている。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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