邑美郷(読み)おうみごう

日本歴史地名大系 「邑美郷」の解説

邑美郷
おうみごう

和名抄」所載の郷。高山寺本の訓は「於保見」、東急本は「於美」。「続日本紀」によると神亀三年(七二六)一〇月の聖武天皇播磨国印南野いなみの行幸の際、一〇日に「印南野邑美頓宮」に至った。従駕の山辺赤人の歌に「印南野の大海の原の荒栲の藤井の浦に」(「万葉集」巻六)とある。「播磨国風土記」託賀たか賀眉かみ里の条に「大海山」の「大海と号くる所以は、昔、明石の郡大海の里の人、到来たりて、此の山底に居」したことによるという。「住吉大社神代記」には「一明石郡魚次浜一処」の項に「自明石川内上神手山・下神手山于大見小岸悉神地寄定」とするが、この「大見」も邑美のことである。


邑美郷
おおみごう

「和名抄」所載の郷。諸本とも邑美と記し、高山寺本は「於保美」、東急本は「於布美」の訓を付す。現邑智町惣森そうもり小松地こまつじ別府べつぷ小林こばやしかたらがい京覧原きようらんばら久喜原くきばら内田うちだ粕淵かすぶち地頭所じとうしよ、現川本かわもと川内かわうち馬野原まのはら三俣みまた湯谷ゆだに三原みはら南佐木みなみさき・北佐木・川本川下かわくだり因原いんばら田窪たくぼ、現桜江さくらえ大貫おおぬき鹿賀しかがに比定される(島根県史)


邑美郷
おうみごう

郡名を冠する郷で、「和名抄」東急本国郡部では郡名に「於不美」の訓を付す。遺称地がなく郷の位置は明確でないが、「和名抄」邑美郡五郷の記載順から、鳥取ととり郷の北、千代川ふくろ川の最下流域東岸の邑美郡北端日本海に面する地に比定するのが通説である。邑美郡の郡衙の所在した郷とする説もある(鳥取県郷土史)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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