日本大百科全書(ニッポニカ) 「浜坂」の意味・わかりやすい解説
浜坂
はまさか
兵庫県北西部、美方郡(みかた)にあった旧町名(浜坂町(ちょう))。現在は新温泉(しんおんせん)町の北部を占める一地区。1891年(明治24)町制施行。1954年(昭和29)浜坂町は大庭(おおば)、西浜の2村と合併。2005年(平成17)温泉町と合併して新温泉町となる。日本海に臨み、岸田川下流の沖積地を除くと旧村域の大部分が山地である。海岸沿いをJR山陰本線と国道178号が走る。浜坂、諸寄(もろよせ)、居組(いぐみ)など5漁港があり、底引網、沖合イカ釣り漁業が盛んで、ズワイガニの水揚げが多い。焼きちくわなどの水産加工品の生産も多い。
特産浜坂針は18世紀末に長崎の職人を連れ帰ったことに始まる。第二次世界大戦後はレコード針、特殊針の生産が増加、一時、レコード針は世界の60%を生産した。海岸は奇岩、怪石、洞門が連続し、とくに但馬御火浦(たじまみほのうら)(国の名勝・天然記念物)は山陰海岸国立公園を代表する景勝地。久谷(くたに)ざんざか踊り、麒麟獅子舞(きりんししまい)などの民俗芸能もある。
[大槻 守]
『『浜坂町史』(1967・浜坂町)』