邪見(読み)ジャケン(英語表記)mithyā-dṛṣṭi

デジタル大辞泉 「邪見」の意味・読み・例文・類語

じゃ‐けん【邪見】

[名・形動]
よこしまな見方考え方。不正な心。
仏語因果道理を無視する誤った考え方。五見・十惑の一。
邪険」に同じ。
「―に蹴る」〈露伴・付焼刃〉

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精選版 日本国語大辞典 「邪見」の意味・読み・例文・類語

じゃ‐けん【邪見・邪慳・邪険】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。五見・十惑の一つ。仏法に説く因果の道理を無視する、誤った考え。⇔正見
    1. [初出の実例]「或持牛狗戒、或投死恒河。如此之類曰邪見」(出典秘蔵宝鑰(830頃)上)
    2. 「邪見の滋き林に入て菩薩の正しき道を迷ひなむ」(出典:観智院本三宝絵(984)上)
  3. ( 形動 ) よこしまであること。不正な心。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「天年(ひととなり)邪見にして三宝を信(う)け不(ず)」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
  4. ( 形動 ) 思いやりがなくて無慈悲なこと。意地悪でむごいこと。また、そのさま。現在では多く「邪慳」の字を用いる。
    1. [初出の実例]「世間の法には慈悲なき者を邪見の者という」(出典:日蓮遺文‐顕謗法鈔(1262))
    2. 「彼女が傍へ寄って来たところを邪見に蹴るのだよ」(出典:付焼刃(1905)〈幸田露伴〉三)
    3. [その他の文献]〔宗史‐王欽若伝〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「邪見」の意味・わかりやすい解説

邪見
じゃけん
mithyā-dṛṣṭi

仏教用語。サンスクリット語で悪しき見解という意味。仏教では見という語をしばしば特に誤った見解の意味に使い,根本煩悩の一つに数える。これに薩迦耶見,辺執見,邪見,見取見,戒禁取見の5つ (五見) があり,いずれも誤った見解であるが,特に因果の道理を否定する見解はいちばん悪質なので,それを邪見という。

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