郊壇窯(読み)こうだんよう(その他表記)Jiāo tán yáo

精選版 日本国語大辞典 「郊壇窯」の意味・読み・例文・類語

こうだん‐ようカウダンエウ【郊壇窯】

  1. 〘 名詞 〙 中国南宋後期の官窯。浙江省杭州烏亀山の西麓にあり、貫乳特色のある精巧な美しい青磁を焼いた。遺品はまれ。南宋郊壇下新官窯。

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改訂新版 世界大百科事典 「郊壇窯」の意味・わかりやすい解説

郊壇窯 (こうだんよう)
Jiāo tán yáo

中国の官窯の一つ,南宋郊壇下新官窯ともいわれる。記録によると,南宋時代初期に宮中で使用する青磁を焼いた修内司窯に次いで,首都臨安郊外の天壇の付近に別に新窯を築き,旧窯とはやや作風の異なる青磁を焼いたという。窯址は1930年2月,大谷光瑞の命をうけた小笠原彰真により確認され,その作風も明らかになった。窯址採集陶片によると,素地は一般に鉄分の多い黒ずんだ陶胎,淡い色調の青磁釉が非常に厚くかかっており,釉面には大小の貫入がいちめんにあらわれているのが特徴。遺例はまれで,東京国立博物館横河コレクションの青磁鉢などが知られている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「郊壇窯」の意味・わかりやすい解説

郊壇窯
こうだんよう
Jiao-tan-yao

中国,浙江省杭州の南の郊外にあった窯。この丘の頂に南宋代の郊壇 (→天壇 ) 址があるので一般に郊壇窯と呼ぶ。南宋の官窯で,作陶技術が最高潮に達した時代の代表的窯。起源は明らかでないが,宋朝の滅亡とともに廃窯。郊壇青磁の特色は鉄分の多い胎土,素地が薄手なこと,粉青色の青磁釉が厚くかかっていること,陶質青磁のため表面に大きな貫入が生じることなどである。遺品はきわめて少く,日本には東京国立博物館蔵の『青磁鉢』『そう形花生』などのほか個人所蔵のものが若干あり,中国,アメリカなどに数点が存在するのみである。

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世界大百科事典(旧版)内の郊壇窯の言及

【官窯】より

…一般に民窯に対するものとしての官窯は,権力者,政府などが管理した陶窯のことで,中国の景徳鎮官窯をはじめ,韓国の広州官窯,日本の鍋島藩窯など,さまざまの性格のものがある。狭義の官窯は,宋時代に宮中の御用品としての青磁を焼いた,いわゆる宋官窯のことで,北宋官窯・汝窯(汝官窯)・南宋官窯(修内司窯・郊壇窯)がこれに当たる。その製品は中国の最もすぐれた青磁として喧伝され,竜泉窯その他でさかんに模倣が行われた。…

※「郊壇窯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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