フランスの詩人アルチュール・ランボーの長編韻文詩。1871年作。作者は当時17歳で、この詩を携えパリに出て、ベルレーヌを驚嘆させ、その筆写原稿により今日に伝えられる。12音節4行詩節全100行。乗組員を失っていっさいから解き放たれ、漂流物となった貨物船そのものが「私」である。その詩法が、非人称的、かつ、きわめて動的な見者(ボアイヤン)の視点を可能にしている。大海、すなわち未知の世界の壮大、華麗、怪奇なイメージに酩酊(めいてい)する「私」の自由の極限に相接して、死が鋭くその姿をのぞかせる。近代詩の運命の軌跡をも開示する傑作である。他の訳名には『酩酊船』『酩酊の船』『酔っぱらいの舟』など。
[中安ちか子]
『清岡卓行訳『ランボー詩集』(1968・河出書房新社)』▽『堀口大学訳『ランボー詩集』(新潮文庫)』
…また近代に入ると,《今昔物語集》に材を求めて芥川竜之介が《好色》(1923)を,谷崎潤一郎が《少将滋幹の母》(1950)を書く。しかし糞尿のイメージを,趣味的にでなく,作家の内面の象徴として意識的に用いたのは火野葦平の《糞尿譚》(1937)や,戦後の武田泰淳《`愛’のかたち》(1948),田中英光《酔いどれ船》(1949),高見順《この神のへど》(1954)などである。これらに共通するのは,挫折した主人公の自己否定の衝動のはけ口として,糞尿イメージが用いられている点である。…
…戦後は共産党に入党,沼津地区委員長となるが,1年ほどで離党,《地下室から》(1948)などで,戦後の革命運動を内部から批判的に告発した。48年の太宰治の死に衝撃を受け,そのころから生活は乱脈をきわめるようになるが,みずからの戦中・在朝鮮体験を検証した《酔いどれ船》(1948)や荒廃した生活をみつめた《野狐》(1949)などには,作者の純真無垢な魂が感じられる。49年太宰治の墓前で自殺した。…
※「酔いどれ船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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