酔ふ(読み)エウ

デジタル大辞泉 「酔ふ」の意味・読み・例文・類語

え・う〔ゑふ〕【酔ふ】

[動ハ四]《「よ(酔)う」の古形
酒気が回る。
さばかり―・ひ給へる御心地にも」〈紫式部日記
気分が悪くなる。
「かくの如くして行く程に、三人ながら―・ひぬれば」〈今昔・二八・二〉
毒気などにあてられてぼんやりする。
「蛇の香に―・ひて目も見開かれねば」〈今昔・一四・四三〉
魅力のあるものに心をうばわれる。
「山は錦を着、天も花に―・へりとなん」〈仮・露殿・下〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「酔ふ」の意味・読み・例文・類語

え・うゑふ【酔】

  1. 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 ( 「よう(酔)」の古形 )
  2. 酒によう。
    1. [初出の実例]「須須許理(すすこり)が 醸(か)みし御酒(みき)に 我恵比(ヱヒ)にけり 事無酒(ことなぐし) 笑酒(ゑぐし)に 我恵比(ヱヒ)にけり」(出典古事記(712)中・歌謡)
  3. (舟、車、駕籠(かご)などに乗り、その動揺によって)気分が悪くなる。
    1. [初出の実例]「ころ舟にゑふ人ありと聞きつるはもたひに泊るけにやあるらん」(出典:高遠集(1011‐13頃))
  4. 魚肉やきのこを食べて)中毒する。
    1. [初出の実例]「鯖(さば)にこりず鰹(かつを)にこりず雪の鰒(ふぐ)〈略〉鰒数奇(ふぐずき)、さばにあてられ、鰹にえひての上暫く用捨有べし」(出典:俳諧・田舎の句合(1680)二三番)
  5. うっとりする。心を奪われる。
    1. [初出の実例]「猛く思ひつる宮つこまろも、物にゑひたる心地して、うつ伏しに伏せり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  6. 迷う。惑う。
    1. [初出の実例]「祖師の遠孫と称するともがらも、楚国の至愚にゑふて、玉石いまだわきまへず、経師論師も斉肩すべきとおもへり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)行持下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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