野坂郷(読み)のさかごう

日本歴史地名大系 「野坂郷」の解説

野坂郷
のさかごう

古代野坂郷が改編、継承されたと考えられる中世郷。野坂川の上・中流域一帯に比定される。松上まつがみ神社の建武五年(一三三八)四月一日付の鐘銘(因幡民談記)に「因幡国野坂郷松上大菩薩」とみえるほか、野坂谷の十善じゆうぜん赤目あかめに居住したと考えられる鋳物師大工の名がみえる。明応六年(一四九七)四月二九日付の旧隠岐国源福げんぷく寺の銅鐘(現島根県温泉津町の愛宕神社蔵)銘に「大工因州野坂住藤原信重」とあり、同年五月三日付の仙林寺鐘銘(因幡民談記)にも「大工野坂住藤原信重」がみえる。


野坂郷
のさかごう

和名抄」東急本には「乃佐加」の訓を付し、高山寺本は郷名の記載を欠く。天慶三年(九四〇)九月二日の因幡国高草郡公文預東大寺領高庭庄坪付注進状(東南院文書)には高庭たかば庄の散在庄田が野坂郷内南一条海別里・海別西里、南二条川原里に計一町三反二〇九歩があった。


野坂郷
のさかごう

「和名抄」諸本とも文字異同はなく、伊勢本・東急本・元和古活字本の訓「乃佐加」から「のさか」と読む。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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