野筋(読み)ノスジ

デジタル大辞泉 「野筋」の意味・読み・例文・類語

の‐すじ〔‐すぢ〕【野筋】

野の道筋を模して庭に設けた道。
几帳きちょう壁代かべしろごとに中央に垂らす、装飾を兼ねたひも。

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精選版 日本国語大辞典 「野筋」の意味・読み・例文・類語

の‐すじ‥すぢ【野筋】

  1. 〘 名詞 〙 野の道筋になぞらえて作った庭の道。野の草花を植えたり、石を配したりした。
    1. [初出の実例]「枯山水の様は、片山のきし、或は野筋などをつくりいでて、それに取付て石をたつる也」(出典:作庭記(1040頃か))

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改訂新版 世界大百科事典 「野筋」の意味・わかりやすい解説

野筋 (のすじ)

平安時代からの庭園用語で,低い盛土でゆるやかな起伏をつけた小丘をいう。築山の裾のなだらかな部分をさすこともある。野辺のなごやかな景色を庭に写そうとした王朝貴族好みの意匠で,前栽せんざい)として桔梗ききよう),女郎花(おみなえし),野菊のような野の草花を移し植えた。《作庭記》には枯山水(かれさんすい)様の一つとして,野筋に取り付けて石を配する形式をあげている。しかし室町時代の庭園秘伝書《山水幷野形図(せんずいならびにのがたのず)》には,野筋はただ山の風情でしいて石を立てず,木草を植えて野山の趣をあらわすものと述べており,時代により若干,感覚的に差のあることがわかる。
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世界大百科事典(旧版)内の野筋の言及

【帳】より

…冬は平絹に紫茶の朽木形文様や纐纈(こうけち)文,夏は生絹に白泥で花鳥や秋草などを描き,裏はいずれも艶出しした白平絹で上に袋乳をつけ,綱を通す。長さは約1丈,幅は場所に合わせて縫いつなげ表面には1幅ごとに野筋という紐を垂らす。野筋は壁代を巻き上げたとき縛るためである。…

※「野筋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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