金〓寺(読み)こんれんじ

改訂新版 世界大百科事典 「金〓寺」の意味・わかりやすい解説

金寺 (こんれんじ)

京都市北区にある時宗の寺。旧四条派本山。四条京極にあったため四条道場とも言った。開山は浄阿真観で,時宗旧遊行派第2祖他阿真教の弟子。歴代の住職はすべて浄阿弥陀仏と号した。当寺および初代浄阿の伝は《浄阿上人行状》《浄阿上人伝》《浄阿上人絵詞伝》(後2者は寺蔵)にある。他阿真教は1309年(延慶2)浄阿を京に派遣し当寺の前身祇陀林寺(ぎだりんじ)(所在に諸説あり,必ずしも当寺の旧地に一致しない)に止住させた。11年(応長1)後伏見院皇后の御産の際に浄阿献上の護符に験あって,寺号を錦綾山太平興国金蓮寺と改めるよう勅が下った。金蓮寺は同年に完成。56年(正平11・延文1)佐々木京極道誉が四条京極の宅地を寄進した。同地の釈迦堂(無住)は一遍遊行の故地である。7代浄阿以降遊行派と本末の争いが生じ,四条派は独立し近世に至った。中世には踊念仏のほか和歌,連歌,早歌,立花等が盛んであった。歌人頓阿,琳阿,立花の綉谷庵文阿弥,書家の素眼らはこの道場と関係があった。近世の朱印高23石余で,四条河原芝居の許認権を持っていた。塔頭(たつちゆう)18,末寺25ヵ寺で8ヵ国に及んだ。塔頭の十住心院は空海が止住したし,染殿院は文徳帝皇后染殿后篤信の地蔵を安置し,今も安産腹帯を授けている。1928年に洛北鷹峯に移転。旧地には新京極南入口に染殿院のみ残存。寺蔵の《一遍上人絵詞伝》20巻ほか,絵画什物(じゆうもつ)にすぐれたものが多い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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