改訂新版 世界大百科事典 「鉄鋼労連」の意味・わかりやすい解説
鉄鋼労連 (てっこうろうれん)
正称は日本鉄鋼産業労働組合連合会。連合の加盟組合。第2次大戦後,総同盟系,中立系,産別会議系に三分されていた鉄鋼労働戦線の統一を目的として,1951年3月に創立。大手5社をはじめ主要鉄鋼企業労組のほとんどを翼下に収める鉄鋼産業唯一の産業別組織。結成当初は社会党左派系が指導権を握り,53年から59年にかけて日鋼室蘭争議をはじめ賃上げ・合理化反対などで大規模なストライキ闘争を頻発させたが,経営側の強固な結束の前にいずれも敗北に終わった。この過程で左派の〈闘争至上主義〉を否定し,労使協力による産業発展のなかに雇用と生活の安定向上を求めるべきことを主張する勢力が台頭し,激しい抗争を経て66年以降指導権を全一的に確立した。以後この勢力のもとで〈標準労働者基準の個別賃上げ方式〉(1969),〈生涯生活ビジョンによる総合的生活闘争〉(1974),〈経済整合性重視の賃金決定〉(1975以降)など先駆的な政策の提起と実践に実績をあげた。その賃金交渉ではいわゆる一発回答方式(第1次回答を最終回答とする方式)が定着しており,それが春闘賃上げ相場形成に強い影響力をもっている。日本の労働運動全体への影響力も強く,全民労協の結成(1982年12月)とその後の運営にも主導的な役割を果たした。組合員数18万3000人(1996年6月現在)。2003年9月造船重機労連,非鉄連合と統合し,日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連,09年組合員数25万人)を結成した。
執筆者:千葉 利雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報