原子核は陽子と中性子とで構成されているが、陽子数Zと中性子数Nとが互いに逆になっている1対の原子核を鏡映核という。また両方の和(Z+N=A)を質量数という。(Z,N)=(8,7)の酸素15の原子核と、(Z,N)=(7,8)の窒素15の原子核とは鏡映核の一例である。また、フッ素19原子核(9,10)とネオン19原子核(10,9)、あるいはシリコン29原子核(14,15)とリン29原子核(15,14)など例も多い。歴史的には鏡映核の結合エネルギー差は重要な情報をもたらした。陽子間に働く核力と中性子間に働く核力とは等しいという荷電対称性を仮定し、二つの鏡映核の結合エネルギーを比べると、陽子間に働く静電的な斥力によるクーロンエネルギーの分だけ異なることになる。一般にZ個の陽子があれば陽子対の数はZ(Z-1)/2と表されるので、酸素15と窒素15の例では、28と21となり、酸素原子核のほうが7だけ多いわけである。静電エネルギーは帯電物の大きさに依存して決まるので、このことを利用して原子核の大きさを知ることができる。この方法はH・ベーテが1938年に使用した。たとえば、シリコン29とリン29の場合に、同じ半径Rの帯電球を仮定すると、実験のクーロンエネルギー差496万電子ボルトから半径約5×10-15メートルが得られる。しかしながら、陽子数の大きな原子核では、中性子数が陽子数よりずっと多くなって初めて安定になるので、鏡映核の1対がともに存在するのは比較的軽い原子核に限られる。
[坂東弘治・元場俊雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…重陽子がスピンの方向に細長いラグビーボール状になっており,一般に原子核が球形でなく四重極モーメントをもつのはテンソル力によるものである。 質量数A,原子番号Zの原子核と,その陽子を中性子に,中性子を陽子に置き換えて得られる鏡映核mirror nuclei(質量数A,原子番号A‐Z)とはエネルギー準位等がほぼ等しく,電磁的性質を別としてほとんど同じ性質である。このことから陽子と陽子の間に働く核力と,中性子と中性子の間の核力とはほとんど同じであると結論される。…
※「鏡映核」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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