改訂新版 世界大百科事典 「長井盆地」の意味・わかりやすい解説
長井盆地 (ながいぼんち)
山形県南部の盆地。長井市,西置賜(にしおきたま)郡白鷹町,飯豊(いいで)町北半に広がり,面積約120km2。南北約20kmの細長い断層盆地で,玉庭丘陵北端部の眺山(324m)と白鷹丘陵南端の今泉山(282m)を結ぶ丘陵が米沢盆地との境をなす。米沢盆地を貫流してきた松川(最上川の上流)がこの丘陵の狭い伊佐沢峡を通って長井盆地に流入し,置賜白川を合流して盆地東縁を北流する。盆地西縁は朝日山地の南東縁を画する大実淵山断層と葉山断層によって境され,これに沿って盆地西半は大小の崖錐(がいすい)や扇状地が並ぶ合流扇状地を形成し,続いて高・中位段丘が発達している。盆地東半は最上川のはんらん原や低位段丘が広がる。南半は水田が卓越し,北半の最上川のはんらん原や段丘面では畑地が卓越している。かつては桑園が多かったが,しだいに畑地への転換や開田化が進んだ。この地域は中世には下長井荘の中心で,江戸時代はウルシや青苧(あおそ)の生産が盛んであった。盆地のほぼ中央を山形鉄道フラワー長井線が南北に縦断し,国道287号線が並走している。盆地中央部に西置賜地方の中心地長井市,北部中央に白鷹町の中心地荒砥(あらと)が立地する。
執筆者:中川 重
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報