山形県南部,米沢市,南陽市を中心に西置賜(にしおきたま)郡飯豊(いいで)町,東置賜郡川西町,高畠町にかけて広がる盆地。置賜盆地ともいう。南北約24km,東西7~18kmでひし形に近く,西を笹野山断層崖,東をやや不明瞭な豪土(ごうど)山断層崖で限られ,中央部が陥没して形成された構造盆地である。南部は吾妻連峰を源流とする羽黒川,松川,鬼面(おもの)川などの諸河川,東部は奥羽山脈から流下する屋代川,和田川,北部は白鷹丘陵から南流する吉野川によって運ばれた砂礫の堆積によって盆地床ができた。盆地周辺部にはこれら諸河川がつくった扇状地が発達し,中央部を最上川の上流部にあたる松川が北流している。盆地北東部には大谷地といわれる泥炭湿地帯が広がり,その中心に位置する白竜湖はかつての湖盆の残存湖とされる。現在,大谷地は土地改良工事が進み乾田化されつつある。気候は盆地特有の夏季高温,冬季低温を呈し,冬は西の荒川峡谷から吹き込む季節風によって県内有数の多雪地となる。盆地には水田が卓越し,周辺丘陵地ではブドウ,リンゴ,セイヨウナシなどの果樹栽培が盛んである。また,鬼面川扇状地には散村形態がみられる。盆地東寄りをJR奥羽本線,国道13号線が縦断し,南端近くに置賜地方の中心都市米沢の市街地が展開する。
執筆者:中川 重
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山形県南部にある盆地。南北24キロメートル、東西7~18キロメートル。南部の吾妻(あづま)山を源流とする松川や鬼面(おもの)川、東部の奥羽山脈から流下する屋代(やしろ)川、和田川、白鷹(しらたか)丘陵から南流する吉野川などが運び込んだ砂礫(されき)の堆積(たいせき)した堆積盆地。周辺部にはこれらの河川の扇状地が形成され、盆地中央を松川が北流、諸河川を合流して眺(ながめ)山、伊佐沢(いさざわ)両丘陵間を抜け、長井盆地に入り最上(もがみ)川となる。盆地床は水田が多く、周辺丘陵地はブドウ、リンゴなど果樹栽培が盛ん。盆地の中心は米沢市と南陽市。なお、この盆地は断層の陥没によって生じた湖が干上がってできたものといわれ、盆地北部の白竜湖(はくりゅうこ)(南陽市)はかつての湖盆の残存湖といわれる。
[中川 重]
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