門火(読み)カドビ

精選版 日本国語大辞典 「門火」の意味・読み・例文・類語

かど‐び【門火】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 葬式で死者を送り出す時に、門前にたく火。〔十巻本和名抄(934頃)〕
  3. 婚礼で花嫁の輿(こし)を送り出す時、再び帰ることのないように願って門前にたく火。
    1. [初出の実例]「門火たく事。御こしをみなみないだしたてて、もんのみぎの方にたく」(出典:娵入記(1443‐73頃))
    2. 「物をしとみより出し門火(カドビ)をたき」(出典:女重宝記(元祿五年)(1692)二)
  4. 盂蘭盆(うらぼん)の時、死者の霊を送り迎えするため門前にたく火。迎え火や送り火。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「影法師孤(ひとり)の門火焚きにけり」(出典:川端茅舎句集(1934))

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改訂新版 世界大百科事典 「門火」の意味・わかりやすい解説

門火 (かどび)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「門火」の意味・わかりやすい解説

門火
かどび

盂蘭盆 (うらぼん) のとき,または葬送の際,死者の魂を迎え送るために,家々の門口や寺の門前で焚く火。

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世界大百科事典(旧版)内の門火の言及

【送り火】より

盂蘭盆会(うらぼんえ)が終わり,精霊(先祖)を送るときに門の前や川,海浜などでたく火のこと。門火(かどび)ともいう。京都の大文字火が著名である。…

【門】より

…〈かど〉は霊的存在の出入りにも重要な意味を持つと考えられていた。門松・門火(かどび)(盂蘭盆でたく迎え火と送り火)のような〈かど〉に関する民俗行事が多いことも,そうした面から理解することができよう。【大河 直躬】。…

※「門火」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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