送り火(読み)おくりび

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

送り火
おくりび

7月 16日すなわち盂蘭盆 (うらぼん) の最後の日の夕方,門前に焚く火のこと。7月 13日に迎え火を焚いて各家庭に迎え入れた祖先の霊を送るという意味をもつ。月おくれで行う京都大文字山の送り火は有名。また葬式の際,出棺のあとに死者を送り出すために門前に焚くかがり火のことも送り火という。

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デジタル大辞泉の解説

おくり‐び【送り火】

盂蘭盆(うらぼん)の最終日、親族の霊を送るために門前などでたく火。門火(かどび)。 秋》「―のあとは此世の蚊遣哉/也有」⇔迎え火
門火(かどび)1」に同じ。
[補説]書名別項。→送り火

おくりび【送り火】[書名]

高橋弘希の小説。平成30年(2018)、雑誌「文学界」5月号に掲載。都会から青森県の廃校直前の中学に転校してきた少年を主人公に、陰湿ないじめと暴力に支配された中学生たちの閉鎖的な世界を描く。第159回芥川賞受賞。

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世界大百科事典 第2版の解説

おくりび【送り火】

盂蘭盆会(うらぼんえ)が終わり,精霊(先祖)を送るときに門の前や川,海浜などでたく火のこと。門火(かどび)ともいう。京都の大文字火が著名である。この火にのって先祖があの世へ帰るという。たとえば,岡山県邑久(おく)郡の盆送りには8月15日に麦わらの火をたき鉦をならして〈ぼにのほとけさまァ,これに付いていにゃァれ〉と唱えたという。 この精霊送りを14日の夜から15日の朝早くと,15日の夜に家の前や川や海浜で行うところが多い。

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大辞林 第三版の解説

おくりび【送り火】

盂蘭盆うらぼんの最後の日の夜、今までもてなしていた祖先の霊を送るために燃やす火。 ⇔ 迎え火 [季] 秋。 《 -や母が心に幾仏 /虚子 》

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

送り火
おくりび

門火(かどび)ともいい、一般には盆が終わり、精霊(しょうりょう)を送るため、家の入口、四つ辻(つじ)、墓などで焚(た)く火のこと。所によっては葬式の出棺のまぎわ、あるいは婚礼のおり娘が生家を出るとき、家の入口で火を焚く習俗があり、これも送り火とか門火とよんでいる。埼玉県西部地方では6月1日に家の前で焚く火のことをさす。盆の送り火は、13日に焚く迎え火に対し、16日または24日、25日に焚く火をさし、先祖の霊魂の去来の道しるべというが、ほかの火焚きの習俗から考えて、本来は、火の力によって危険な悪霊を追い払うという絶縁を意味する火といえよう。6月1日の門火は、麦殻を燃やしたり、静岡県西部地方では線香を立てているが、この日は剥(は)け節供といって、祓(はらえ)の行事をする日であるところから考えて、身についた穢(けがれ)を追い払う火であることがわかる。
 送り火は家々の行事になっている所が多いが、村共同で、小高い山の頂や、秋田県横手市のように川原で焚く所もある。京都東山の如意ヶ岳(にょいがたけ)の大文字焼(だいもんじやき)も、今日では夏の風物詩の一つになっているが、盆の送り火の名残(なごり)であり、共同体全体で精霊を送ることを表している。[鎌田久子]

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世界大百科事典内の送り火の言及

【葬式】より

…〈出立ちの膳〉を食べた後,仮門をくぐり出発する。一把わらで送り火を焚き,生前使用の茶碗を割る。たいまつ,花籠,四本旗,僧侶,盛物,樒(しきみ),傘,杖,位牌,膳飯,灯籠,棺,天蓋,会葬者の順でソウレン道を通って埋葬地まで行く。…

※「送り火」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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