門神(読み)もんしん(その他表記)mén shén

改訂新版 世界大百科事典 「門神」の意味・わかりやすい解説

門神 (もんしん)
mén shén

中国で魔除けのために門扉にはる神像をいう。古くから桃が邪気をはらうと信じられ,その枝で作った〈桃梗(とうこう)〉〈桃人〉を門に立てる風習があった。これがのちに意匠化されて〈桃符〉や〈桃板〉となり,さらにめでたい文字を書いた〈春聯(しゆんれん)〉と〈神荼(しんと)・鬱塁(うつるい)〉の二神を描いた〈門神〉に変化したと考えられる。この二神は,東海の度朔山の大きな桃樹の下にいて,人を害する鬼(き)を葦で縛(しば)り虎に食わせるという。〈神荼〉は葦あるいは虎を,〈鬱塁〉は桃あるいは雷を神格化したものとみられるが,のちには祓除(ふつじよ)する神として意識されたらしい。後世,二神は唐の太宗に仕えた秦瓊しんけい)と尉遅敬徳(うつちけいとく)に変じている。《西遊記》には,太宗が宰相魏徴の斬首した涇河(けいが)竜王死霊にたたられたとき,秦瓊と尉遅敬徳が宮門を護衛したが,太宗はその労苦を見るに忍びず,二将の絵姿を門にはらせたといい,これが門神の由来話として民間に伝わる。秦瓊は〈文門神〉,尉遅敬徳は〈武門神〉とよばれ,それぞれ白い顔と黒い顔の武装した姿に描かれる。年末に新しい神像にはりかえ,左右の門扉をかざる。
春聯
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「門神」の読み・字形・画数・意味

【門神】もんしん

門を守る神。〔楚歳時記、正月〕二を繪がきて、の左右に貼る。左は(しんと)、右は鬱壘(うつるい)なり。俗に之れを門と謂ふ。

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