間面記法(読み)けんめんきほう

改訂新版 世界大百科事典 「間面記法」の意味・わかりやすい解説

間面記法 (けんめんきほう)

建物平面規模を表す方法の一つで,平安時代に用いられた。当時の建物は内部空間が母屋(もや)(身舎)と(ひさし)から構成されており,母屋の桁行(けたゆき)が何間で,その何面に庇が付くかによって全体の規模がわかる。母屋の梁間は2間が普通であるから,とくに表示する必要はない。例えば,三間四面は桁行3間の母屋の4面に庇が付くことを表しており,全体の規模は桁行5間,梁間4間となる。寝殿造など住宅建築における庇の付き方をみると,前面にだけ庇を付けた一面庇から,背面にも付けた二面庇,さらに正側面に付けた三面庇,4面全部に付けた四面庇へと発展する。鎌倉時代以降,母屋と庇の構成がくずれてくると,この間面記法では表しえない建物が多くなり,用いられなくなる。なお,この間面記法とは別に,近世では全体の規模について桁行を間,梁間を面で表した場合と,何間四方を何間四面と記した場合とがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「間面記法」の意味・わかりやすい解説

間面記法
けんめんきほう

奈良時代から南北朝時代に用いられた建築の平面,規模,形式を表現する方法。中世前期までの建築は身舎 (母屋) とひさしから成る構成であり,身舎の間口 (梁行) 柱間を「何間」と表わし,奥行 (梁間) は通常柱間2間であったから省略され,身舎に「何面」のひさしがついているかで表記した。ひさしは1~4面まで建物の用途格式によってさまざまな形態があった。たとえば「五間四面」とあれば間口5間,奥行2間の身舎に4面にひさしを付けたもので,総間口は7間,総奥行は4間になる。

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世界大百科事典(旧版)内の間面記法の言及

【社寺建築構造】より

…母屋は桁行3間あるいは5間に梁行2間の規模のものが多く,これに庇がつく。庇のつく側面の数によって,三間一面,三間二面,三間四面のようにとなえられ,これを間面(けんめん)記法という。 母屋と庇は一連の屋根で覆われることが多いが,境界に段差をつけたものや,庇屋根を一段低くして別につくるものもある。…

※「間面記法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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