関の五本松(読み)セキノゴホンマツ

デジタル大辞泉 「関の五本松」の意味・読み・例文・類語

せきのごほんまつ【関の五本松】

島根県出雲地方の民謡美保関港口の山にある五本松が、松江領主行列の槍がつかえたという理由1本切られたことを惜しんだ歌という。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「関の五本松」の意味・わかりやすい解説

関の五本松
せきのごほんまつ

島根県松江市美保関(みほのせき)町の民謡。同地方の花柳界でお座敷唄(うた)として歌われてきたもので、その源流は、香川県仲多度(なかたど)郡多度津(たどつ)町山階(やましな)にある雨霧(あまぎり)山(360メートル)山頂にある焼香場の井戸を詠んだ溜池(ためいけ)造りの地固め唄「リキヤ節」(別名「焼香場のお井戸」)である。それが溜池造りの土木技術者とともに中国地方に広められたおり、島根県下へも伝えられ、のちには美保関の花柳界で三味線伴奏がつけられて、お座敷唄となった。そうしたなかで、いまから百数十年前、美保関から松江へ通じる松江街道沿いに生えていた五本松のうちの一本が、通行のじゃまから伐(き)られるという事件があり、機知のきく人が「関の五本松一本伐りゃ四本 あとは伐られぬ夫婦(めおと)松」の歌詞をつくり、夫婦和合の唄にしたことから、『関の五本松』の曲名が生まれた。

竹内 勉]

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改訂新版 世界大百科事典 「関の五本松」の意味・わかりやすい解説

関の五本松 (せきのごほんまつ)

島根県松江市の旧美保関(みほのせき)町に伝わる酒席騒歌(さわぎうた)。美保関の港に近く5本の松があって船の目印になっていたが,美保神社参詣の大名の供の槍が松につかえたので大名はこの松を切らせたが,土地の者があとの松の命を嘆いて歌に歌ったという伝承がある。もとは地形(じぎよう)歌の《しょばこのお井戸》などという作業歌であったのが変化し,美保関の色街で洗練されて今日の《関の五本松》になったものといい,地形歌以来の〈ショコホイ〉というはやしことばを残している。
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