現美保関町に設けられていた海関。三尾関・見尾関・三保関・仁保関などとも記された。のち地名に転化し、美保関の所在するところとして、美保関郷すなわち美保郷をも意味するようになった。宝治二年(一二四八)一二月日の蔵人所牒写(真継家文書)によると、左方灯鑢御作手惣官左衛門尉中原光氏が西国における関所の狼藉停止を求めたなかに、
「承久記」下に「出雲国大八浦と云所に付せ給ふ。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
島根県東部、八束郡(やつかぐん)にあった旧町名(美保関町(ちょう))。現在は松江市の北東部を占める地域。島根半島の東端に位置し、北は日本海、南は美保湾、境(さかい)水道、中海(なかうみ)に臨む。旧美保関町は、1924年(大正13)町制施行。1955年(昭和30)千酌(ちくみ)、森山、片江の3村と合併。2005年(平成17)松江市に合併。国道431号、485号が通じ、松江からの定期バスがあり、境水道大橋(1972年完成)により境港(さかいみなと)市(鳥取県)などと結ばれる。地域の80%近くを山林が占めているが、丘陵地ではミカン、カキなどが栽培されている。七類(しちるい)港は隠岐(おき)航路の基点。美保関地区は古くから海関の置かれた地で、室町期には朝鮮、九州、北陸への船の寄港地、近世は西廻(にしまわり)航路の風待ち港として繁栄。また美保神社の鳥居前町でもある。日本海に面した千酌、片江なども古くから天然の良港として知られ、片江は機船底引網漁業の発祥地。半島東部は美保ノ北浦(国指定名勝)など景勝地が多く、大山隠岐(だいせんおき)国立公園の一部。縄文時代の権現山洞窟(ごんげんやまどうくつ)住居跡、サルガ鼻洞窟住居跡はともに国指定史跡。仏谷寺(ぶっこくじ)の薬師如来など5体の仏像が重要文化財に指定されている。民謡『関の五本松』の発祥地。
[江村幹雄]
『『片江郷土誌』(1965・同書編集委員会)』▽『『美保関町史料』(1979・美保関町)』▽『『美保関町誌』(1986・美保関町)』
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