関税割当制度(読み)カンゼイワリアテセイド

デジタル大辞泉 「関税割当制度」の意味・読み・例文・類語

かんぜいわりあて‐せいど〔クワンゼイわりあて‐〕【関税割当制度】

一定期間内に輸入される特定商品について、割当数量を超えるものには高税率を課す二重税率制度

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「関税割当制度」の解説

関税割当制度

特定の産品無税または低関税の輸入枠を設定する制度。枠を超えた輸入には高関税を課し、国内の生産者を保護する。枠内の税率は1次税率、枠外は2次税率と呼ばれる。現在、日本には農産品を中心に19品目の関税割り当てがある。多くは関税貿易一般協定(ガット)ウルグアイ・ラウンドの結果、市場開放の一環として導入された。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「関税割当制度」の意味・わかりやすい解説

関税割当制度
かんぜいわりあてせいど
tariff quota system

特定の商品の輸入に際し、一定の輸入数量までは低税率あるいは無税(一次税率)とし、その割当枠を超えたものに対しては高税率(二次税率)を適用する二重税率制度。割当量は、原則として、当該商品の国内需要量から国内生産量を差し引いた数量(必要輸入量)である。この制度は、できるだけ安く輸入品を手に入れたいという国内の需要者の要求に低い一次税率でこたえる一方、高い二次税率で国内の生産者を保護することを目的としている。関税割当制度は輸入量を直接制限するものではないが、二次税率適用の貨物は自由に輸入できても、税率を高くすると輸入は事実上不可能となり、輸入量割当に近い効果をもつ。これは、WTO(世界貿易機関)の理念からいえば好ましいものではないが、WTOは無差別適用を条件としてこの制度を認めており(ガット13条5項)、アメリカ、ヨーロッパ連合EU)などで採用している。日本でも1961年(昭和36)に、国内生産者と需要者の利害を調整しながら貿易の自由化を円滑に進める措置として導入された。2000年(平成12)現在、ミルククリームナチュラルチーズ、とうもろこし、麦芽、繭など21品目30枠に適用されている。なお、関税割当数量の割当方式には、先着順方式と過去の輸入実績に基づく事前割当方式とがあるが、日本では後者の方式を採用している。

[秋山憲治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ASCII.jpデジタル用語辞典 「関税割当制度」の解説

関税割当制度

関税率を二重の基準で定める制度。特定物品が輸入される場合、事前に一定期間内の割り当て数量を決める。そして、その数量以内であれば、低税率、または無税にする。これが1つ目の基準である。しかし、割り当て数量を超過して輸入された場合、超過分には高税率が適用される。これが2つ目の基準である。さらに、実施方法は2つに分かれ、1つは割り当てを希望する外国企業に対し、政府が割り当て数量を事前に分配する「事前割当制度」。もう1つは輸入先着分から低関税を適用する「先着順方式」である。日本では現在、事前割当制度がとられている。関税割当制度は国内産業保護の観点から採用されており、輸出国に対して輸入数量を明確に制限するわけではないが、一定の抑止力にはなっている。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android