阿弥衣(読み)あみぎぬ

精選版 日本国語大辞典 「阿弥衣」の意味・読み・例文・類語

あみ‐ぎぬ【阿彌衣・網衣】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 網の目のように粗く織った布でつくった粗末な衣服経帷子(きょうかたびら)僧侶や尼の衣服など。
    1. [初出の実例]「桂女(かつらめ)の鮎にはあらずあまひとのかづくあみぎぬけふにあふひぞ〈源顕房〉」(出典:経信集(1097頃))
  3. 時宗で用いる十二道具の一つ。阿彌は網に通じ、阿彌陀仏の無碍光(むげこう)がすべてを救いとることを意味し、時宗の徒はこれを心として身にまとった。時に棺の覆いにもして野袈裟(のげさ)ともいう。馬衣(うまぎぬ)
    1. [初出の実例]「十二道具の持文をかき給。南無阿彌陀仏〈一遍弟子〉当信用十二道具心〈略〉一阿彌衣」(出典:一遍聖絵(1299)一〇)

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改訂新版 世界大百科事典 「阿弥衣」の意味・わかりやすい解説

阿弥衣 (あみぎぬ)

麻やイラクサの繊維で俵を編むようにして作った時宗(じしゆう)の法衣(ほうえ)の一つ。〈あみえ〉とも呼び,また網衣,編衣とも書く。網がどんな魚介をも選ばずにすくい取るように,阿弥陀仏も信じれば善悪同様に救済する絶大な力をもつことをたとえて,網衣を阿弥衣とした。袖は広袖か袖無,身丈は膝頭まで,黒麻布の襟は裾まである。着流しの姿で裳をつけず,色も繊維のままの茶褐色だったので,〈裳無衣〉とか〈馬きぬ〉などと批判された。
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