阿遅速雄神社(読み)あちはやおじんじや

日本歴史地名大系 「阿遅速雄神社」の解説

阿遅速雄神社
あちはやおじんじや

[現在地名]鶴見区放出東三丁目 水剣

第二寝屋川に長瀬ながせ川が合流する地点の北側に鎮座。阿遅高日子根神を主神とし、現在は草薙剣の分霊正一位八剣大明神を配祀する。往古八剣やつるぎ大明神と称した。旧郷社。「延喜式」神名帳に載る東生ひがしなり郡の同名社に比定される。社伝によれば、天智天皇七年(六六八)熱田あつた神宮(現名古屋市熱田区)の神剣草薙剣を盗みだした新羅の沙門道行は、当地付近で暴風雨に遭遇したことから、神罰をおそれて神剣を投げすてた。この神剣は一時当社に奉安され、やがて皇居に移送されたが、朱鳥元年(六八六)熱田神宮へ返納されたという。草薙剣の盗難事件については「日本書紀」「扶桑略記」「熱田宮旧記」などに散見するが、当社の祭神が出雲系の神であり、現社地付近の往古の地勢を勘案すると、その由緒は放出の地名説話に帰結すると思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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