阿部定(読み)アベ サダ

20世紀日本人名事典 「阿部定」の解説

阿部 定
アベ サダ

昭和期の情痴殺人者



生年
明治38(1905)年5月28日

没年
(没年不詳)

出生地
東京・神田新銀町(現・千代田区神田多町)

経歴
東京・神田の畳職人の末っ子に生まれる。17歳で自ら芸者となり、以後、娼婦・妾などをして富山、飯田、名古屋、大阪、篠山、東京など各地を転々。昭和11年2月東京中野の小料理屋・吉田屋へ奉公石田吉蔵を知る。同年5月18日未明、東京尾久の待合で吉蔵絞殺し、遺体性器を切り取った。遺体の大腿部に“定吉二人”という血文字が書かれてあったことから猟奇殺人として騒がれる。同月20日品川で逮捕。その際、性器を紙に包んで帯の中に持っていたため、さらにセンセーショナルに取り上げられた。同年12月懲役5年の判決が下る。16年出所後、芸者や旅館の女将、おにぎり屋の経営などをする一方、マスコミにも登場するが、45年頃から消息不明となる。彼女をモデルにした映画に大島渚「愛のコリーダ」、大林宣彦SADA」、評伝に粟津潔ほかの「昭和十一年の女・阿部定」などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「阿部定」の解説

阿部定 あべ-さだ

1905- 昭和時代の女性。
明治38年5月28日生まれ。17歳ごろ芸者となり,日本各地を転々とする。昭和11年東京尾久の待合で愛人の小料理屋主人石田吉蔵を絞殺。局部をきりとり,「定吉二人キリ」の血文字をのこすなど猟奇的事件として話題になった。服役後,16年出所。東京出身。偽名は田中加代。
格言など】私の一番好きなあなた。死んで私のものになりました(殺した石田吉蔵あてにかいた遺書)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「阿部定」の解説

阿部 定 (あべ さだ)

生年月日:1905年5月28日
昭和時代の阿部定事件犯人
?年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の阿部定の言及

【阿部定事件】より

…1936年5月18日,東京の荒川区尾久町(現,東尾久)の三業地内の待合まさきで,中野区新井町で小料理店を経営していた石田吉蔵が,石田の店の女中をしていた阿部定(当時31歳)と数日間を過ごし,情痴の果てに殺された。殺した阿部定は血文字を残し,男根を切りとって逃走したので,猟奇的な怪事件としてジャーナリズムが大きく報道した。…

※「阿部定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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