陰隲録(読み)いんじつろく(その他表記)Yīn zhì lù

改訂新版 世界大百科事典 「陰隲録」の意味・わかりやすい解説

陰隲録 (いんじつろく)
Yīn zhì lù

中国,明末の代表的な善書勧善の書)の一つ。明末の袁黄(号は了凡)の《立命之学》《謙虚利中》《積善》《改過》《決科要語》《功過格》《雲谷禅師伝功過格欵》を集めたもの。崇禎年間(1628-44)の刊本が日本に輸入され,袾宏(じゆこう)《自知録》とあわせて,1701年(元禄14)に雒東獅子谷升蓮社から出版され,現存する。陰隲は《尚書》洪範に見える語で,天が無言のうちに民を安定させること。転じて陰徳の意に用いられ,天が人の行為の善悪によって禍福を下すとする。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陰隲録」の意味・わかりやすい解説

陰隲録
いんしつろく
Yin-zhi-lu

中国,明の袁了凡著書。「立命之学」「謙虚利中」「積善」「改過」の4編から成る。人は陰徳を積み,慈悲を施すべきであると説くいわゆる善書の教えを実践した模範記録として,明末以後に大きな影響を与えた。

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世界大百科事典(旧版)内の陰隲録の言及

【袁黄】より

…彼の三教一致論は広く普及し三教先生といわれた。彼の著述は数多いが最も流布したのは《陰隲録(いんじつろく)》である。この書は雲棲袾宏の《自知録》同様,善書的信仰(善書)の実践基準を示す〈功過格〉の書であり,ともに日本においても広く読まれた。…

【善書】より

…その出版形態は,営利目的の一般書と異なり,印刷・配布じたいが善行とされ,自費印刷,無料配布であった。代表的なものに,《陰隲録(いんじつろく)》《袁了凡功過格》《文昌帝君陰騭文》《関世帝君覚世真経》などがある。明末・清初には,各種の善書を集大成することが行われ,《迪吉録(てききつろく)》《勧戒全書》《彙編功過格》《丹桂籍》《同善録》《元宰必読書》などが刊行された。…

※「陰隲録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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