雁風呂(読み)ガンブロ

デジタル大辞泉 「雁風呂」の意味・読み・例文・類語

がん‐ぶろ【×雁風呂】

青森県津軽外ヶ浜付近で、海辺に打ち寄せられた木片をたいて風呂をたてる風習。秋の末に渡ってくるが、海上で羽を休めるための木を海辺に落としておき、春に再びくわえて帰るといわれ、残った木片は死んだ雁のものであるとして、供養のために諸人を入浴させたという。雁供養 春》「―や笠に衣ぬぐ旅の僧/蛇笏

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精選版 日本国語大辞典 「雁風呂」の意味・読み・例文・類語

がん‐ぶろ【雁風呂】

  1. 〘 名詞 〙 浜べに落ちている木を拾い集め、雁の供養のために風呂をたいたと伝えられる風習。雁は海上で羽を休めるために木片をくわえて渡ってき、陸に着くとそれを海岸に落としていく。そして、春に再びその木をくわえて北方に帰ると思われていたところから、雁の去ったあとに浜べに残った木は死んだ雁のものとし、その木を集めて供養のために風呂をわかして諸人にふるまったという。津軽(青森県)の外ケ浜の習俗と伝えられる。雁供養(がんくよう・かりくよう)。《 季語・春 》 〔俳諧・滑稽雑談(1713)〕
    1. [初出の実例]「蘇武の咄し雁風呂で仕る廻国者」(出典:雑俳・紀玉川(1819‐25)二)

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デジタル大辞泉プラス 「雁風呂」の解説

雁風呂

古典落語演目ひとつ。上方ばなし。二代目桂三木助から六代目三遊亭圓生に受け継がれた。「天神の松」とも。

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世界大百科事典(旧版)内の雁風呂の言及

【ガン(雁)】より

…その去来の時期がちょうど春秋の彼岸ころにあたるため,故郷は常世(とこよ)の国,すなわち死者の生活する土地に比定された。奥州津軽の外ヶ浜には渡来する雁がくわえてきた浮木が,春に帰る季節にはとらえられた雁の数だけ残り,浜人はこれを薪として雁の供養のため施湯を行うという〈雁風呂〉の話が,《採薬使記》その他に伝えられる。この話は事実としてよりむしろ宗教的創作とみるのが妥当であろう。…

※「雁風呂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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