物が集合して経済的に単一の価値を有し、取引上も一体として取り扱われる物。たとえば、家畜群や工場とその中の機械など。集合物を法律上一個の物として取り扱うことができるかどうかが問題となるが、特別法により登記・登録などの公示方法を付与された財団では、一個の物として取り扱われる。たとえば企業経営のための土地、建物、機械、器具や工業所有権(産業財産権)などは、これを一括してそのうえに抵当権を設定できる。前記のような特別法のない場合には、従来から一個の物として取り扱うことはできないものとされてきた。しかし一つの企業を組成する物の集合は、相合して客観的な単一の経済的価値を有するため、特別法のない場合にも、一個の物として担保取引の客体とされることが切望される。
[竹内俊雄]