排出ガスの浄化やプロセスガスの清浄化、粒子成分の回収など種々の目的のため、気体(おもに空気)中に浮遊するダスト(固体微粒子)やミスト(液体微粒子)を除去する装置の総称。集塵装置は、公害対策としてボイラー、焙焼(ばいしょう)炉、加熱炉、廃棄物焼却炉などの排出ガス中の煤塵(ばいじん)を除去するためのほかに、製造工業においてはIC工場、製薬工場などにおける空気清浄化による品質の向上、乾燥機からの食品、せっけんなどの製品の回収や、各種製造工程からの酸化亜鉛、カーボンブラックなどの回収のために取り付けられている。
[早川豊彦]
集塵装置は、機械式、電気式、乾式、湿式など種類が多い。5ミクロン程度までは構造が簡単な機械式の乾式(重力沈降室、衝突式集塵装置、サイクロンなど)で、1ミクロン程度までは圧力損失の小さい(水柱100~300ミリメートル)スクラッバーscrubberで集塵できるが、サブミクロン(1ミクロン以下)まで集塵するものは大型で高価になる。処理ガス流量が毎分2000~3000立方メートル以上の大流量では、電気集塵機が動力費が小さく有利といわれ、それ以下の中小流量では乾式のバッグフィルターbag filter(袋状の濾布(ろふ)を用いる装置)が優れている。直管の中途を絞った管(ベンチュリー管という)をサイクロンに接続したベンチュリースクラッバーventuri scrubberは簡便で高性能だが、圧力損失が大きく、洗浄水の排水処理のため、気体の急冷とか吸収を兼ねる場合を除き、あまり用いられない。湿式電気集塵機は高性能だが、排水処理が必要なのと蒸発水分による絶縁劣化を防ぐため、気体を十分冷却しておく必要がある。
[早川豊彦]
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