離脱症状とは

六訂版 家庭医学大全科 「離脱症状とは」の解説

離脱症状とは
(こころの病気)

 中枢神経系を抑制する作用のあるアルコール、ベンゾジアゼピン類、アヘン類などで認められる身体依存の徴候です(表7)。薬物を使用し始めのころは、体内から薬物が消失していくと、急性効果が消失するだけですが、反復使用していくうちに、身体依存が形成されて、当初はなかった薬物特有の身体・精神症状が現れます。

 連用している薬物を完全に断った時に現れる症状を禁断(きんだん)症状といい、薬物の血中濃度が急速に低下する時にも、これと類似の症状が現れます。それを「離脱症状退薬(たいやく)症状)」といいます。

 アヘン類では、あくびが盛んに出て、瞳孔(どうこう)散大(さんだい)のほか、涙・鼻水がだらだら出る、皮膚に虫がはい回るような異常感、腹痛嘔吐下痢・食欲不振、不眠、アヘン類を使用する動機となった脊椎(せきつい)骨折などの疼痛が再現するなど、自律神経(あらし)と呼ばれる激しい症状が出て大変な苦痛を伴います。その苦痛から逃れようとして、さらにアヘン類を求めるために、自分で止めようとしてもなかなか止めることができないのです。

 通常、これらの離脱症状は、類似の作用をもつ医薬品に置き換え、それを漸減(ぜんげん)することによって、おおむね1週間以内におさまりますが、激しい時には生命の危険さえあります。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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