一般市民など不特定多数の聴衆を対象とした、音楽の演奏を鑑賞する公開の会合。オーケストラなど一団の音楽家たちの演奏会(コンサート)の名称として用いる場合が多く、個人あるいは小人数による場合は一般に独奏(唱)会(リサイタル)とよばれる。ヨーロッパにおいては、演奏会にあたるドイツ語Konzertやイタリア語concertoが協奏曲をも意味するように、公開の演奏会の歴史はオーケストラの発展と密接に結び付いている。
17世紀中期までの音楽演奏の場は、教会、王侯貴族や富豪の館(やかた)、あるいは特定の芸術団体であるアカデミーや、大学を母体とするコレギウム・ムシクムに限られ、一般市民が優れた音楽演奏に接しうる場は教会のみであった。市民への音楽の開放は、1637年に開設されたベネチアのサン・カッシアーノ劇場におけるオペラ公演に始まるが、最初の公開演奏会は、作曲家兼歌手ベン・ウォーリングトンの主宰によって1664年にロンドンで開催されたと伝えられる。器楽に関する本格的な公開演奏会は、ロンドン生まれの作曲家兼バイオリン奏者ジョン・バニスターが自宅を演奏会場として1673年に出発している。
バロックの協奏曲や古典派の交響曲など、オーケストラ音楽の開花期となる18世紀に入ると、ヨーロッパ各地に歴史的に名高い定期的な公開演奏会が誕生する。なかでも、ロンドンの古楽アカデミー(1710発足)、バッハ・アーベル演奏会(1765)、ザロモン演奏会(1783)、パリのコンセール・スピリチュエル(1725)、コンセール・デ・ザマトゥール(1769)、ライプツィヒのゲバントハウス演奏会(1781)などが注目される。宮廷音楽が崩壊し、一般市民が音楽の担い手となった19世紀と20世紀においては、公開演奏会はオペラとともに西洋音楽生活の中心的存在となっている。
[中野博詞]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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