間宮芳生(読み)まみやみちお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「間宮芳生」の意味・わかりやすい解説

間宮芳生
まみやみちお
(1929― )

作曲家。北海道旭川(あさひかわ)市生まれ。1952年(昭和27)東京芸術大学作曲科卒業。池内友次郎(いけのうちともじろう)(1906―1991)に師事。在学中の1950年に『チェロ・ソナタ』が日本音楽コンクール作曲部門第3位となる。1953年に外山雄三(とやまゆうぞう)(1931―2023)、林光(はやしひかる)(1931―2012)とともに「山羊(やぎ)の会」を結成し、作曲活動に入る。『日本民謡集』(1955~)をはじめ東北地方を中心に日本の民謡を採集し、それを用いた作品を発表。『合唱のためのコンポジション第1番』(1958)は、囃子詞(はやしことば)のみを用いて民族的なエネルギーを表現し、日本の合唱音楽史上画期的な作品となった。『三面の箏(そう)のための音楽』(1958)、『尺八三絃、二面の箏のための四重奏曲』(1962)をはじめ邦楽器のための作曲も初期から手がけるが、『合唱のためのコンポジション』シリーズ(1958~)のほか、『オーケストラのための二つのタブロー'65』(1965。第14回尾高賞受賞)などのオーケストラ作品、『昔噺人買太郎兵衛(むかしばなしひとかいたろうべえ)』(1959)、『ニホンザル・スキトオリメ』(1965)をはじめとするオペラ創作の中心である。民族主義的な方法を通して前衛的な音楽を提起するのが間宮作品の特徴となっている。『オーケストラのための協奏曲』(1978)ほかで芸術祭優秀賞を受賞。1992年(平成4)紫綬褒章(しじゅほうしょう)受章。1992年から2005年(平成17)まで静岡音楽館AOIの館長兼芸術監督を務める。著書に『現代音楽冒険』(1990)など。

[楢崎洋子]

『間宮芳生著『野のうた氷の音楽』(1980・青土社)』『間宮芳生、オッリ・コルテカンガス著『木々のうた――唱うエコロジーの試み』(1997・農村漁村文化協会)』『日本芸術文化振興会、国立劇場調査養成部芸能調査室監修・編『現代の日本音楽第2集 間宮芳生作品』(1999・春秋社)』『『現代音楽の冒険』(岩波新書)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「間宮芳生」の意味・わかりやすい解説

間宮芳生
まみやみちお

[生]1929.6.29. 旭川
作曲家。東京音楽学校 (現東京芸術大学) 作曲科に学び,作曲を池内友次郎にピアノを田村宏に師事。在学中の 1950年,毎日音楽コンクールで『チェロ・ソナタ』が入賞。卒業後は東北地方の民話を研究,また林光,外山雄三と「山羊の会」を結成し,その発表会で民謡を素材とした『2台のピアノのための3章』 (1952) などを発表。また民謡をピアノ伴奏つき歌曲に編曲した『日本民謡集』 (5集,55~65) を作曲,以後も声,言葉への関心が強く,58年以来のシリーズ『合唱のためのコンポジション』では,かけ声やはやし言葉を素材に独自の世界を表現。 1960年代からは世界の民俗音楽・民族音楽の探究へと広がりをみせ,『弦楽四重奏第一番』 (63) ,尾高賞受賞曲『ピアノ協奏曲第二番』 (70) ,ザルツブルク・テレビ・オペラ賞受賞作『鳴神』 (74) ,真言声明による『唄 (ばい) 』 (75) などを作曲。著書に『現代音楽の冒険』 (90) など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「間宮芳生」の解説

間宮芳生 まみや-みちお

1929- 昭和後期-平成時代の作曲家。
昭和4年6月29日生まれ。池内友次郎に師事。昭和28年林光,外山(とやま)雄三と山羊(やぎ)の会を結成。日本の民族派の代表といわれ,代表作に日本民謡を素材にした「合唱のためのコンポジション」(芸術祭奨励賞・毎日音楽賞受賞)や室内オペラ「昔噺・人買太郎兵衛」などがある。NHK大河ドラマ「竜馬がゆく」「春の坂道」などの音楽も手がける。北海道出身。東京芸大卒。

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世界大百科事典(旧版)内の間宮芳生の言及

【バイオリン】より

…また製作面でも水準の高い楽器がアメリカなどに輸出されるようになった。戦後の日本人作曲家によるバイオリン曲には,1952年ガロア・モンブラン賞を受賞しパリで出版された平尾貴四男の《バイオリン・ソナタ》(1947),伝統音楽の語法の解体・再構成を試みた間宮芳生の《バイオリン協奏曲》(1959),三善晃のロマン的資質をよく示した《バイオリン協奏曲》(1965)などがある。【片山 千佳子】。…

【バレエ音楽】より

… 日本では,1910年代後半から20年代初めにかけて山田耕筰石井漠小山内薫の協力を得て創作した舞踊詩(《青い焰》《マリア・マグダレーナ》《野人創造》)がある。また第2次大戦後の作品では,伊福部昭(1914‐ )の《サロメ》(1948)と《プロメテの火》(1950),石井歓(1921‐ )の《まりも》(1962),間宮芳生(1929‐ )の《祇園祭》(1963)などが成功している。【後藤 暢子】。…

※「間宮芳生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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