鬼夜(読み)おによ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鬼夜」の意味・わかりやすい解説

鬼夜
おによ

福岡県久留米市の大善寺玉垂宮(→大善寺)で毎年 1月7日に行なわれる祭り。直径 1m,長さ 13mの大松明 6本を燃やす火祭として知られる。大みそかの夜から続く鬼会(おにえ)の最後の行事で,仁徳56(368)年1月7日に,祭神である玉垂宮(藤大臣)が,人々を苦しめていた肥前水上の桜桃沈輪(ゆすらちんりん)を松明の火で探し出して退治し,カヤを集めて焼いたのが始まりと伝えられる。祭り当日,昼間は鬼面尊神の神事と種まき神事があり,夜になると姿の若衆たちが境内に集まり,小松明を手にして川の汐井場でが行なわれる。午後9時半前,消灯した境内で,大みそかに鑚(き)り出して本殿にともされていた鬼火と呼ばれる御神火が一番松明に点火され,ほかの大松明にも一斉に火がつけられる。その後,赤と青の鼻高面が登場し,の順に互いに打ち合わせ,かたわらの者がその鉾と仮面を奪い取る鉾面神事があり,一番松明から順に大松明が本殿や鬼堂(阿弥陀堂)のまわりを回る大松明廻しとなる。鬼堂では鬼役が頭にわらのかぶりものをかぶった「しゃぐま」と呼ばれる子供たちに囲まれて,お堂を 7回半回る堂回りが行なわれる。続いて,一番松明が神社惣門をくぐって汐井場に向かう惣門くぐりとなる。これは鬼の禊を先導するものとされ,一番松明の火は川辺に着くと消される。鬼役は決して姿を見られてはならないとされており,暗闇なかで禊をして本殿に戻る。その後再び大松明が本殿のまわりを回り,厄鐘が鳴らされて火が消される。1994年に国の重要無形民俗文化財に指定された。

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