(読み)ふんどし

日本大百科全書(ニッポニカ)「褌」の解説


ふんどし

男子の陰部を覆い隠す帯状のをいう。形状は着装の方法によって異なり、六尺褌越中褌、もっこ褌の3種に大別することができる。肌の帯、下の帯、下帯、下紐(したひも)ともいう。古くは犢鼻(たふさぎ)、次いで手綱とよんだ。布地は、室町時代以前は麻を用いた。江戸時代以降は白木綿を用いているが、貴人では羽二重(はぶたえ)、中流以上は白加賀絹を用い、美を好んだ者は、大幅または小幅の縮緬(ちりめん)、白い竜紋(りゅうもん)、緞子(どんす)、綸子(りんず)、綾(あや)、繻子(しゅす)などを用いた。また侠気(きょうき)のある者は緋(ひ)縮緬などを用いた。江戸時代に江戸相撲(すもう)で相撲をとるのに褌を用い、腰を二重三重に巻き、股をくぐらせて、後ろで結ぶ。一般に用いられた褌は、腰を一重巻いて後ろで結ぶ。

 六尺褌は小幅物6尺(呉服尺。1尺は36.4センチメートル)の帯状の布で、着装法は2通りある。一つは、一端で陰部を覆い、他の端を腰部に巻き付けて背後中央で片結びにして留める。他の方法は、一端を前面に広げて垂らす方法である。天正(てんしょう)(1573~92)のころは麻布などを用い、4尺ほどに切り、片方を二つ割りにして全幅を腰にあて、割ったほうを腰へ回して前で結び、全幅を股(また)をくぐらせて、前で結んだ紐の下より引き出して前に垂らした。これは越中褌と同様の形態となる。越中褌は3尺の白木綿の布の一端を三つ折り縫いにし、他方を紐が通るように縫って紐を通してT字形にし、腰にあてて、紐を前で結び、布を股ぐらを通して紐の下より引き出し、前に垂らして着す。もっこ褌は形が畚(もっこ)に似ているところからその名がある。布の両端をそれぞれに紐が通るように縫い、紐を通し、片方は足を踏み通して、片方で紐を結んで着す。

 色はほとんど白木綿(晒(さらし))であるが、褌祝いや水泳の際に赤、黄、黒など色物を用いることがある。大正時代、女子の水着に袖(そで)なしのメリヤスが現れたとき、男子は赤の褌を用いた。肌着としての六尺褌と越中褌は、全国的に着用されていたが、最近ではパンツが普及して、褌類の着用は減少し、一部の人に用いられるのみとなった。

[藤本やす]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「褌」の解説


ふんどし

男子の下着の一つ。越中褌,もっこ褌,六尺褌などの種類がある。古くは犢鼻 (たふさぎ) ,肌袴 (はだばかま) といい,幅の広い帯状のものであった。鎌倉~室町時代にかけては手綱 (たづな) ,江戸時代からは下帯,褌と呼ばれるようになった。褌の語源は「踏み通し」で,肌袴の着用には両足を踏み通したことに由来するといわれる。また手綱は,古くは手拭俗称で,馬の手綱のように長い布というであった。材料は,古くは麻布が用いられたが,江戸時代からは木綿布が普通となり,一部では,縮緬 (ちりめん) ,緞子も用いられた。現在では,洋式の下着の普及に伴い褌の使用は減少しつつある。

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デジタル大辞泉「褌」の解説

ふんどし【×褌/犢褌】

男子の陰部をおおう布。下帯したおび
女子の腰巻。
「女は襷がけで、裾をまくって…鼠色になった―を出している」〈鴎外青年
相撲の化粧回し。
将棋で、桂馬が相手の駒二つを同時に取りに行く手。盤上で丁の字形になるのでいう。
カニの腹部の生殖器の蓋板。
[類語]下帯回し締め込み

みつ【×褌】

《「三つ」から》相撲のまわしで、腰に巻いた部分とに股下をおおう部分とが交差する所。三つ結い。また、まわし・締め込みと同義にも用いる。「前」「たて

ふどし【×褌/犢褌】

ふんどし」の音変化。
「―も人を頼まず、帯も手づから前にむすびて」〈一代男・一〉

へこ【×褌】

ふんどし。
「棒組、のしの―をはづせ」〈滑・膝栗毛・三〉

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精選版 日本国語大辞典「褌」の解説

とうさ・ぐ たふさぐ【褌】

〘自ガ四〙 (「とうさぎ」の動詞化) とうさぎをする。下帯をする。
※袖中抄(1185‐87頃)一「紅の下袴、織物の指貫にくくりもあげず、そばをはさみて褐の尻を胯より前ざまに引、たうさぎて前にはさめり」

ふどし【褌】

〘名〙 「ふんどし(褌)」の変化した語。
※改正増補多識編(1670頃)四「褌襠 和名 今按那礼岐奴俗云不土志(フドシ)又幾也不」

へこ【褌】

〘名〙
① 男子の股間をおおうための布きれ。ふんどし。ふどし。〔日葡辞書(1603‐04)〕

すまし‐もの【褌】

〘名〙 (いつも洗い清めるべきものの意か) ふんどし。下帯。〔二十巻本和名抄(934頃)〕

ふどうし【褌】

〘名〙 =ふんどし(褌)体源鈔(1512)〕

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世界大百科事典内のの言及

【ズボン】より

…その後ズボンはさまざまな形態上の変遷を重ね近代的スタイルを確立する。
[ズボンと日本人]
 古墳時代,埴輪に見られるように褌(はかま)と称するズボン風の脚衣が着用されていた。南蛮文化が渡来する16世紀後半から17世紀初期にかけて,スペイン人やポルトガル人の当時の独特な脚衣を反映した,〈裁付(たつつけ)〉とか〈軽衫(かるさん)〉と呼ばれた男子袴が着用されるようになった。…

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