魏禧(読み)ぎき(英語表記)Wei Xi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「魏禧」の意味・わかりやすい解説

魏禧
ぎき
Wei Xi

[生]天命9(1624)
[没]康煕19(1680)
中国,清初の文学者。江西省寧都県の人。字,冰叔 (ひょうしゅく) 。号,裕斎,勺庭 (しゃくてい) 。魏叔子とも呼ばれる。明滅亡後,故郷に隠棲して子弟を教育し,江南を旅して明の遺民と交わりを結んだ。康煕帝に召されたが受けず,まもなく死んだ。明の帰有光の流れをくんで唐宋古文を範とし,議論を主とした雄健な文をつくった。清初の代表的散文家として,兄の際瑞,弟の礼とともに「寧都の三魏」,また侯方域と並んで「侯魏」と称された。科挙受験のための学問に反対して古学を志し,特に史学に詳しく,史論にもすぐれていた。主著『左伝経世』『日録』『魏叔子文集』『魏叔子詩集』。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「魏禧」の意味・わかりやすい解説

魏禧
ぎき
(1624―1680)

中国、清(しん)代の文章作家。字(あざな)は冰叔(ひょうしゅく)または叔子、江西省寧都の人。兄の際瑞(さいずい)、弟の礼とともに三魏と称せられた古文作家であり、侯方域(こうほういき)と並べて侯魏の名もあった。1678年(康煕17)博学鴻詞(こうし)科にあげられたが、疾のため辞退している。その文章は史学に根底があり、『春秋左氏伝』と蘇洵(そじゅん)を好んだ。史論と伝記に長じ、文について論ずる場合にはほぼ唐宋(とうそう)八大家の範囲を超えなかった。すなわち唐宋派の系列に属する。『魏叔子文集』『左伝経世鈔(しょう)』などの著書がある。

佐藤一郎

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