オーピッツ(読み)おーぴっつ(英語表記)Martin Opitz

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーピッツ」の意味・わかりやすい解説

オーピッツ
おーぴっつ
Martin Opitz
(1597―1639)

ドイツの詩人、文芸理論家。現ポーランド領シュレージエン地方のブロツワフの生まれ。ハイデルベルクなどの大学に学び、パリ、オランダに遊んで学者たちと交わる。1624年、わずか5日間で『ドイツ詩学』を書き上げる。ギリシア、ローマの古典やフランスの詩学に範をとりながら、ドイツ語の本質に即して、詩句のつづりを強弱によって数えることと、その規則正しい交替を詩法の基本としてドイツ文芸の規範を確立する画期的な試みで、バロック時代以降ドイツ古典主義の時代まで重視された。25年ウィーンで皇帝から桂冠(けいかん)詩人の位を受ける。以後諸方の宮廷に仕え、外交の任にもあたるかたわらドイツ語浄化運動に貢献。29年から文芸アカデミー「結実協会」の会員。ドイツ語による最初の歌劇ダフネ』の台本も執筆(音楽はハインリヒ・シュッツ)。ようやく学究生活に従える閑職を得たが、ダンツィヒ(現グダニスク)でペストのために没。

高辻知義

『永野藤夫著『バロック時代のドイツ演劇』(1974・東洋出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オーピッツ」の意味・わかりやすい解説

オーピッツ
Opitz (von Boberfeld), Martin

[生]1597.12.23. ブンツラウ
[没]1639.8.20. ダンチヒ(現グダニスク)
ドイツの詩人。ハイデルベルク,ライデンなどで学ぶ。「成果をもたらす協会」 Die Fruchtbringende Gesellschaftの一員としてドイツ語浄化運動に参加,『アリスタルコス』 Aristarchus (1617) を著わし,「シュレジエン詩派」の中心人物として,また,バロック文学の理論的指導者として同時代人に大きな影響を与えた。『ドイツ詩学の書』 Buch von der deutschen Poeterey (24) ではアクセントを重視し,フランス詩のアレクサンドラン移入を唱えた。ほかにソフォクレス『アンチゴネ』の翻訳など。

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