魚子(読み)ナナコ

デジタル大辞泉 「魚子」の意味・読み・例文・類語

なな‐こ【魚子/×魶子/斜子/七子】

《「の子」の意で、魚卵の粒がつながっている形から》
彫金技法の一。先端小円になったたがねを打ちこみ、金属表面に細かい粒が密に置かれたようにみせるもの。一般に地文として用いる。ササン朝ペルシアから中国を経て奈良時代日本に伝わった。
魚子織り」の略。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「魚子」の意味・わかりやすい解説

魚子
ななこ

斜子,魚々子,七子などとも書く。 (1) 彫金技法の一種。先端が小さな円筒状につくられた魚子鏨 (たがね) を用い,金属面に粟粒大の細粒を密に打込んで地とし,主文様を浮き出させたもの。作例は白鳳時代からあり,奈良時代以降盛んになった。 (2) 絹織物の一種。経糸,緯糸の2ないし数本を1単位として平織に織ったもの。魚子織とも呼び,京都,川島 (岐阜) ,桐生などで生産される。

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普及版 字通 「魚子」の読み・字形・画数・意味

【魚子】ぎよし

魚卵。

字通「魚」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の魚子の言及

【タビー】より

…用いられる糸によって薄地,厚地各種あるが,慣用としてはごく薄地の軽いものをタフタ,地厚な重いものをパドゥアゾイpaduasoy,両者の中間のものをタビーと呼びならわしている。タビーには経糸(たていと),緯糸(よこいと)にそれぞれ2本以上の糸を引きそろえて用いたもの(日本では魚子(ななこ)と称される)のほか,紋織にしたもの,さらに紋緯を押さえるために地経の外に搦経(からみだて)を加えたダブル・タビーdouble tabbyなどがある。【小笠原 小枝】。…

【魚々子】より

…そのあとが魚の卵に似るところからきた名称。魚子,七子,魶子とも書く。日本では760年(天平宝字4)の《造金堂所解》に〈魚子打工〉の名称が見られるのが,文献では最古の例である。…

※「魚子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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