鯉沼九八郎(読み)コイヌマ クハチロウ

20世紀日本人名事典 「鯉沼九八郎」の解説

鯉沼 九八郎
コイヌマ クハチロウ

明治期の自由民権運動家 栃木県議。



生年
嘉永5年12月13日(1853年)

没年
大正13(1924)年12月29日

出生地
下野国壬生(栃木県壬生町)

経歴
豪農に生まれ、長じて皮革・骨粉製造に従事。明治政府の有司専政に憤りを感じ、栃木自由党に加わって自由民権運動に挺身。明治16年頃から自由党の勢力挽回をはかって大臣や有力官僚たちの暗殺を企図するようになる。三島通庸が栃木県令として着任すると、宇都宮に移転した栃木県庁の開庁式にて三島爆殺を謀るが、爆裂弾が製造中に暴発して負傷。これにより、残った同志加波山にて挙兵し、いわゆる加波山事件が勃発した。事件後の裁判では首謀者の一人として有期徒刑15年の判決を受ける。26年に出獄。32年栃木県議に選出され、以後12年間に渡って県政に参与した。44年に政界を引退。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鯉沼九八郎」の解説

鯉沼九八郎 こいぬま-くはちろう

1853*-1924 明治-大正時代の自由民権運動家。
嘉永(かえい)5年12月13日生まれ。栃木自由党にはいり,自由民権演説会などで活躍。明治17年政府転覆をめざして爆弾製造中に負傷,のち逮捕された(加波山(かばさん)事件)。出獄後栃木県会議員となった。大正13年12月29日死去。73歳。下野(しもつけ)(栃木県)出身

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の鯉沼九八郎の言及

【加波山事件】より

…福島事件に連座した河野広躰,三浦文治ら福島の自由党員は,83年4月釈放されると,福島県令三島通庸(同年10月より栃木県令兼任)の暗殺を計画してその身辺をねらった。一方,栃木県では下都賀郡の自由党員鯉沼九八郎が83年末,政府転覆をめざして爆弾の製造を開始していた。河野らと鯉沼は84年初め,三島暗殺をねらって連携し,2月東京芝の三島邸襲撃を計画したが実現せず,7月には茨城・栃木・群馬各県の自由党員が茨城県の筑波山に集会。…

※「鯉沼九八郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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