加波山(読み)カバサン

デジタル大辞泉 「加波山」の意味・読み・例文・類語

かば‐さん【加波山】

茨城県中西部、筑波つくば北方にある山。標高709メートル。

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日本歴史地名大系 「加波山」の解説

加波山
かばさん

筑波山の北にあり、真壁新治にいはり両郡の郡界をなす。標高七〇九メートル。古くから信仰の山として知られ、山頂に加波山三枝祇さえなずみ神社本宮・親宮、加波山神社が鎮座し、山麓に里宮がある。景行天皇の世に日本武尊が東征のおり、当地に祠を建てたと伝えられ、「三代実録」貞観一七年(八七五)一二月二七日条に「授常陸国正六位上三枝祇神、従五位下」とある。毎年八月には修験道の禅定が行われ、先達を案内に白衣に草鞋履きの行者金剛杖を突いて六根清浄を唱え、山中の霊窟を巡って修行する。

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改訂新版 世界大百科事典 「加波山」の意味・わかりやすい解説

加波山 (かばさん)

茨城県中央部,桜川市と石岡市にまたがる山。標高709m。湯袋峠をはさんで南に名峰筑波山を配し,関東平野から直立する山容で知られる。山頂に加波山神社,加波山三枝祇(さえなづみ)神社本宮・親宮があり,西側の山腹からは良質の花コウ岩を産出する。1884年の加波山事件の舞台。山頂からの展望に優れ,水郷筑波国定公園に属する。
執筆者:

加波山の山麓部にみる信仰内容はほぼ筑波山信仰のそれと同質である。加波山における信仰の中心は近世には本宮(別当正幢院),親宮(円鏡院),中宮文殊院)の3社に分かれていたが,近世後期になるとそれぞれが山先達組織を形成し,山中に散在する奇岩,岩窟によって構成される行場(岩屋禅定)が表山裏山東山と3所に設定されて独自の信仰を展開してきた。加波山信仰は茨城・栃木両県を中心に信仰圏を形成しているが,基本的には地方霊山の域にとどまる。しかし歴史の古い筑波山信仰を圧倒して周辺地域を掌握したことは注目される点で,これは禅定講および嵐よけ,疫病よけとして各地を巡回する神輿渡御などに中心的役割を果たす山先達の力によるところが大きい。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「加波山」の意味・わかりやすい解説

加波山
かばさん

茨城県西部、筑波(つくば)山の北にある山。標高709メートル。桜川市(さくらがわし)と石岡市(いしおかし)の境界をなす。山体は黒雲母花崗(くろうんもかこう)岩からなり、アカマツ、スギ、ブナなどが多い。加波山信仰の中心、加波山神社があり、また修験(しゅげん)道場として禅定(ぜんじょう)などの修行も行われる。1884年(明治17)の加波山事件は有名。花崗岩は桜川市に石材業を発達させた。水郷筑波国定公園に含まれている。

[櫻井明俊]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「加波山」の意味・わかりやすい解説

加波山
かばさん

茨城県中部,筑波山地第2の高峰。標高 709m。山頂には加波山神社があり,加波山禅定祭が行なわれる。花崗岩を産し,西麓の桜川市では石材加工業が盛ん。 1884年旧下館藩士,富松正安ら栃木県,茨城県両県の急進的な自由党員 16人が自由民権を唱えてたてこもった加波山事件で有名。水郷筑波国定公園に属する。

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