出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
茨城県中央部,桜川市と石岡市にまたがる山。標高709m。湯袋峠をはさんで南に名峰筑波山を配し,関東平野から直立する山容で知られる。山頂に加波山神社,加波山三枝祇(さえなづみ)神社本宮・親宮があり,西側の山腹からは良質の花コウ岩を産出する。1884年の加波山事件の舞台。山頂からの展望に優れ,水郷筑波国定公園に属する。
執筆者:中川 浩一
加波山の山麓部にみる信仰内容はほぼ筑波山信仰のそれと同質である。加波山における信仰の中心は近世には本宮(別当正幢院),親宮(円鏡院),中宮(文殊院)の3社に分かれていたが,近世後期になるとそれぞれが山先達組織を形成し,山中に散在する奇岩,岩窟によって構成される行場(岩屋禅定)が表山,裏山,東山と3所に設定されて独自の信仰を展開してきた。加波山信仰は茨城・栃木両県を中心に信仰圏を形成しているが,基本的には地方霊山の域にとどまる。しかし歴史の古い筑波山信仰を圧倒して周辺地域を掌握したことは注目される点で,これは禅定講および嵐よけ,疫病よけとして各地を巡回する神輿渡御などに中心的役割を果たす山先達の力によるところが大きい。
執筆者:宮本 袈裟雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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