鯨餠(読み)くじらもち

精選版 日本国語大辞典 「鯨餠」の意味・読み・例文・類語

くじら‐もちくぢら‥【鯨餠】

  1. 〘 名詞 〙 玄米粉に黒砂糖を混ぜて蒸しあげた餠菓子山形県新庄市の名産で、その黒い色艷が鯨の皮に似ているところからの名とも、屑米を用いた餠の意の「くずもち」が変化した名ともいわれる。また、別に、白米粉に氷砂糖の粉を混ぜたものに黒餡の層をのせ、鯨羊羹(くじらようかん)のような形にして蒸しあげたもの(御前菓子秘伝抄(1718))。
    1. [初出の実例]「相したがふ人々には、あべ川のさとう餠、こま餠、くわもち、くじら餠、ぼたもち殿や、さっさもち」(出典:仮名草子・酒餠論(江戸初))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本の郷土料理がわかる辞典 「鯨餠」の解説

くじらもち【鯨餅】


山形県最上地方青森県の鰺ヶ沢(あじがさわ)と浅虫の郷土菓子で、もち米うるち米の粉をよくこね、砂糖くるみなどを加えて型に入れて蒸したもの。山形には、しょうゆみそを入れて甘辛くしたもの、青森には、小豆やあんを入れたものが多い。◇もとは京都で作られていた菓子で、黒と白の二層になっていて、切った面が鯨の皮の断面のように見えたことからこの名があり、これが北前船で伝わったものとされる。最上地方では「くぢら餅」「久持良餅」、浅虫では「久慈良餅」とも書く。

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