国指定史跡ガイド 「鷲ノ木遺跡」の解説
わしのきいせき【鷲ノ木遺跡】
北海道南部の噴火湾(内浦湾)に面する茅部郡森町鷲ノ本町にある縄文時代のストーンサークルを含む遺跡。2001年(平成13)、高速道路建設に際した発掘調査により、縄文時代後期の大規模な環状列石や竪穴(たてあな)墓域が発見され、2006年(平成18)に国指定史跡となった。環状列石は、中央の配石と、約50cmの間隔をあけて2重に配置した列石で構成されている。全体はほぼ円形で南北37m、東西34m。20~80cmの石が約530個使われている。また、ほかに埋設土器が1個と砂利の集積が5ヵ所見つかっている。規模は北海道内では最大、全国的にみても3番目に大きい。東北地方北部の環状列石とは異なり、配石の下に土坑が確認されていないので、環状列石自体は墓地として機能していなかったと考えられている。環状列石から西へ5m離れた地点に楕円形の竪穴墓域がある。竪穴の中には大小10基の土坑が設けられている。環状列石と竪穴墓域は駒ヶ岳の火山灰に厚く覆われていたため、きわめて良好な保存状態である。北日本における環状列石や墓制、祭祀、北海道と本州の交流、そして、北海道独自の墓制である周堤墓の成立過程を探るための重要な遺跡となっている。JR函館本線桂川駅から徒歩約9分。