大化前代の職業部。鷹養部とも書く。狩猟のための鷹と犬の飼育,調教および放鷹に従事。《日本書紀》仁徳43年9月条に仁徳天皇が百済王族の酒君の調教した鷹を使って遊猟した記事がみえ,同月鷹甘部を定めたとある。このことは鷹養と鷹狩の技法が百済から伝来したことを物語るものである。その居地は大和・河内・摂津・近江にあったが全体を統轄する伴造(とものみやつこ)は見当たらず,地域ごとの伴造に率いられた。近江の伴造は鷹養君と君(きみ)姓であった。彼らの姿は群馬県出土の6~7世紀ごろの鷹匠埴輪によってうかがうことができる。大化改新以降もその一部は品部(しなべ)としてのこされ,主鷹司鷹戸(鷹養戸)とされた。大宝官員令の別記によると,大和・河内・摂津に17戸置かれ調役を免除されたが,726年(神亀3)10戸に減じられた。殺生を禁ずる仏教思想からしばしば停廃をくりかえし,791年(延暦10)廃止された。
執筆者:新井 喜久夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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