油煙(読み)ユエン(その他表記)lampblack

翻訳|lampblack

デジタル大辞泉 「油煙」の意味・読み・例文・類語

ゆ‐えん【油煙】

鉱物油・松やに・油脂ベンゼンなどが不完全燃焼して発生する微細な炭素粉。インク・墨などの原料になる。
油煙墨」の略。
[類語]煤煙噴煙けむりけぶり火煙白煙黒煙炊煙朝煙夕煙紫煙香煙硝煙砲煙煙幕排煙狼煙のろしすすくゆらす煙い煙たいむせっぽい

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精選版 日本国語大辞典 「油煙」の意味・読み・例文・類語

ゆ‐えん【油煙・油烟】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 油脂や重油など、液体状の炭素化合物を不完全燃焼して生じる微細な炭素質の集合物。カーボンブラックの一種としてインクや黒色顔料の原料となるほか、墨の製造原料となる。〔運歩色葉(1548)〕
    1. [初出の実例]「むらさき硯、油煙のすみ、かみ五かさねにふでまきそへ」(出典:幸若・大臣(室町末‐近世初))
  3. ゆえんずみ(油煙墨)」の略。
    1. [初出の実例]「墨は松墨、油煙 如字 碧雲也」(出典:禅林小歌(1415頃))

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普及版 字通 「油煙」の読み・字形・画数・意味

【油煙】ゆえん

すす。墨の材料。〔輟耕録、二十九、墨〕宋の煕豐の、張を供す。油を用(もつ)て、腦麝金箔に入る。之れを香劑と謂ふ。

字通「油」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「油煙」の意味・わかりやすい解説

油煙
ゆえん
lampblack

魚油植物油クレオソート油石油廃油などを炉内で不完全燃焼させて得られるすす。微細無定形炭素粒子主体カーボンブラックに比べ粒子が比較的大きく,ゴムに対する増強性が弱いが,底色が青みをもって美しいので,墨の原料,紙幣印刷石版印刷などや,ペイントの黒色顔料として利用される。

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百科事典マイペディア 「油煙」の意味・わかりやすい解説

油煙【ゆえん】

油脂や蝋が不完全燃焼したとき生じる炭素の微粒子。→カーボンブラック

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世界大百科事典(旧版)内の油煙の言及

【煤】より

…そのような目的のために,原料として樹脂分の多い松材や,ナタネ油など油類を煙室で不完全燃焼させてすすをつくる。前者を松煙,後者を油煙と称している。現代でも奈良県では,このような古典的,伝統的な製法で得られたすすをにかわと練り固め上質の墨を製造している。…

※「油煙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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