ハルトラノオ(春虎の尾)(読み)ハルトラノオ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ハルトラノオ(春虎の尾)
ハルトラノオ
Polygonum tenuicaule

タデ科多年草本州,四国,九州に分布し,山地木陰に生える。根茎は長く地をはい,暗褐色で肥厚した節があり,ところどころ地上に出ている。根出葉は2~3枚で長柄があって叢生し,質は薄い。茎葉は1~2枚で短柄があり,初め小さいが花時を過ぎると大きくなる。2~3月,長さ3~10cmの花茎の先に長さ2~3cmの総状花序を出して白色の小花を密生する。萼は5深裂し,各裂片は長楕円形。花弁はない。おしべは8本,子房の先には糸状花柱が3本ある。春一番に咲く「虎の尾」 (イブキトラノオ〈伊吹虎の尾〉 ) ということでこの名があり,いろは 47文字の最初をとってイロハソウの別名もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハルトラノオ
はるとらのお / 春虎尾
[学] Bistorta tenuicaulis (Biss. et S.Moore) Nakai
Polygonum tenuicaule Biss. et S.Moore

タデ科(APG分類:タデ科)の多年草。地下茎は長くはって肥厚し、先に数枚の葉が束になってつく。葉は長柄があり、卵状長楕円(ちょうだえん)形で長さ3~8センチメートル、先端はとがり、基部はくさび形で柄に沿下する。早春、7~15センチメートルの花茎を直立し、先端に長さ約3センチメートルの穂状花序をつくり、多数の白色花を密生する。痩果(そうか)は広楕円形褐色。山地の日陰に生え、本州から九州に分布する。名は、花形トラノオゴマノハグサ科、APG分類:オオバコ科)に見立て、春に咲くトラノオの意味。また早春に開花するので、いろは四十七文字の最初の意味でイロハソウともいう。

[小林純子 2020年12月11日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のハルトラノオ(春虎の尾)の言及

【イブキトラノオ】より

…和名のトラノオは,その細長い花穂を〈虎の尾〉にみたてたもので,滋賀県伊吹山に多いのでこの名がある。近縁種にハルトラノオP.tenuicaule Bisset et Moore(イラスト),クリンユキフデP.suffultum Maxim.(イラスト)がある。【土屋 和三】。…

※「ハルトラノオ(春虎の尾)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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