メキシコ南部ミチョアカン州にある標高3170mのスコリア丘で,現代に生じた新山として著名である。北海道の昭和新山も,ほぼ同時期(1943-45)に生じたが,これは溶岩円頂丘である。同地の農夫プリドは,1943年2月初めから地震を感じていたが,2月20日朝,彼の畑で長さ25mの地割れに気づいた。彼が村の役所に報告して帰ってみたら,割れ目から火山灰が噴出しており,その夜には赤熱岩片も噴出した。翌朝には高さ10m,1週間後には165m,1年後には300m,ついには底面直径650m,高さ400mのスコリア丘に成長した。この間に大量の溶岩や火山灰も噴出し,総噴出物量は36億tと見積もられている。噴火活動は9年と12日間続いた。この噴火により,2部落の4500人が家を失った。現在,石造の教会堂だけが溶岩原の中に取り残されている。溶岩はSiO255~60%で玄武岩質安山岩あるいは安山岩である。なお,周辺には,更新世,現世に噴出した同様なスコリア丘が多数存在している。
執筆者:横山 泉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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