ABM(読み)エービーエム(英語表記)anti-ballistic missile

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ABM
エービーエム
anti-ballistic missile

弾道ミサイル迎撃ミサイル。大陸間弾道ミサイルICBMや潜水艦発射弾道ミサイルSLBMを早期に発見・識別し,これを撃破するミサイル。大気圏外で迎撃するものと,おとりなどの識別が可能となる大気圏内で迎撃するものとの2種類がある。前者にはアメリカのスパルタン,ソ連のガロシュ (その後ゴルゴンに変更) があり,主としてメガトン級の熱核兵器 (水素爆弾) のX線効果を利用する。後者にはアメリカのスプリント (射程 40km,全長 8.23m,直径 1.37m,2段固体ロケット) があり,小型で高加速度性を有し,キロトン級の核頭部をもつ。 1960年代末から 70年代にかけてアメリカ,ソ連両国で実用化されたが,72年5月,第1次戦略兵器制限取決め SALT Iの協定によって,両国ともその配備は首都と ICBM基地の2ヵ所に制限された。さらに 74年の ABM議定書で両国とも配備は1ヵ所に制限された。ソ連はモスクワにガロシュ・ミサイルを配備したが,アメリカは ABMの有効性に疑問をもち,フォード政権時代の 75年 10月に配備を中止した。

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デジタル大辞泉の解説

エー‐ビー‐エム【ABM】[antiballistic missile]

antiballistic missile》飛行中の大陸間弾道弾(ICBM)を迎撃して破壊するミサイル。弾道弾迎撃ミサイル。

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大辞林 第三版の解説

ABM

〖activity-based management〗
ABC(活動基準原価計算)により得られる情報を基に生産工程や組織を管理する手法。活動基準管理。 → ABC

ABM

〖antiballistic missile〗
弾道ミサイル迎撃ミサイル。大陸間弾道ミサイル(ICBM)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を迎撃、破壊する目的のミサイル。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ABM
えーびーえむ

弾道弾迎撃ミサイルのことで、Anti-Ballistic Missileの略。地上に設置したレーダーと、核弾頭付きの迎撃ミサイルを組み合わせて、飛んでくる敵の弾道ミサイルを破壊するシステム。かつての米ソ両国はSALT(ソルト)-(第一次戦略兵器制限交渉)で結ばれた1972年5月のABM制限条約で、両国のABMシステムの配備を2地域(首府とICBM〔大陸間弾道ミサイル〕基地1か所)に制限し、ABMを100基まで配備できることとした。さらに1974年7月のABM議定書で、1か所に制限した。アメリカでは、セーフガード計画の名で、スパルタンおよびスプリントの2種類の核弾頭付き迎撃ミサイルが開発された。しかしミサイルの弾頭のMIRV(マーブ)(個別誘導複数目標弾)化技術の発達によって、ABMは事実上有効性が小さくなり、アメリカでは1975年10月の議会の決定でその運用が停止された。ソ連もモスクワ周辺にガロシュ・ミサイルを64基配備しただけである。1983年にアメリカの大統領レーガンはABMシステムを上回る構想として、戦略防衛構想(SDI=Strategic Defense Initiative)を発表した。この構想は実現しなかったが、G・H・W・ブッシュ政権のGPALS(Global Protection Against Limited Strikes=限定的弾道ミサイルに対するグローバル防衛)、クリントン政権の戦域ミサイル防衛(TMD=Theater Missile Defense)と国家ミサイル防衛(NMD=National Missile Defense)、G・W・ブッシュ政権の弾道ミサイル防衛(BMD=Ballistic Missile Defense。単にMD=Missile Defenseともいう)に受け継がれた。なおアメリカは2001年12月、安全保障環境の変化を主張し同条約を廃棄することを求めたが、ロシアが同意しなかったため脱退を表明、翌年6月正式に脱退した。[服部 学]

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世界大百科事典内のABMの言及

【ミサイル】より

…その発射位置から,陸上,空中および潜水艦発射に分類され,とくに陸上発射については一般に射程から表2のように分類される。また,これら弾道ミサイルを探知,識別,迎撃する弾道ミサイル迎撃ミサイルanti‐ballistic missile(略号ABM)がある。 弾道ミサイルの構造は,大別して推進装置,誘導装置,弾頭からなり,また発射装置もシステムに含まれる。…

※「ABM」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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