ゴルゴン(英語表記)Gorgōn

デジタル大辞泉 「ゴルゴン」の意味・読み・例文・類語

ゴルゴン(Gorgōn)

ギリシャ神話中の怪物三姉妹ステノエウリュアレー・メドゥサ総称頭髪は蛇で、黄金の翼をもち、目は人を石に化す力があったという。このうちメドゥサのみが不死でなく、英雄ペルセウスに殺された。ゴルゴー。→メドゥサ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ゴルゴン」の意味・読み・例文・類語

ゴルゴン

  1. ( [ギリシア語] Gorgōn ) ギリシア神話に出てくる三人姉妹魔女、ステノ、エウリュアレ、メドゥーサをいう。醜怪な顔、一本一本が蛇の髪の毛、猪のような歯、大きな黄金の翼をもって、その目は人を石に化す力があったという。ゴルゴー。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ゴルゴン」の意味・わかりやすい解説

ゴルゴン
Gorgōn

ギリシア神話の女怪。複数形はゴルゴネスといい,海の神フォルキュスPhorkysの娘ステンノSthennō(強い女),エウリュアレEuryalē(広く跳ぶ女),メドゥーサMedousa(統治する女)の3姉妹を総称する。このうち前2者には特別の神話がないため,ゴルゴンといえばただちにメドゥーサを指すことが多い。彼女たちは無数の蛇から成る頭髪,猪のきばのごとき歯,見る者を石に化す目をもつ恐るべき存在で,はるかな西方,ヘスペリデスの園の近くとされるそのすみかは,彼女たちの年上の3姉妹,生まれながらの老女で,しかも3人で一眼一歯を共有するグライアイGraiaiによって守られていた。このため,ゴルゴンの首を取ってくることを命じられた英雄ペルセウスは,まずグライアイから目を奪ってゴルゴンたちのすみかへの道を聞き出したあと,その目を直視して石化させられないように,鏡に映る姿をたよりに睡眠中の彼女たちに近づき,3姉妹のうちでただひとり不死身ではなかったメドゥーサの首を切り落とした。このとき,海神ポセイドンのたねを宿していたメドゥーサの血から,有翼の天馬ペガソスが生まれた。またメドゥーサの首はのちに女神アテナのアイギス(ヤギ皮楯)の飾りとなったという。メドゥーサの首は女怪の死後もその魔力をもつと一般に信じられた結果,ゴルゴンの頭(ゴルゴネイオンと呼ばれる)が護符として武器や壁に取り付けられ,アルゴスではアゴラ地下に埋められていたと伝えられる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴルゴン」の意味・わかりやすい解説

ゴルゴン
SH-11 Gorgon

旧ソ連がガロシュ弾道ミサイル迎撃ミサイルABMの後継型として,1980年代末からモスクワ周辺に配備しているサイロ式の ABM。SS-25 ICBMの改造型といわれ,低軌道人工衛星に対する迎撃ミサイルとしての能力も有すると伝えられる。ガロシュ・ミサイルに比べ射程が長く,核弾頭威力も小さいため迎撃時の核爆発による副次的被害は小さいものとみられる。また固体燃料使用のためガロシュ・ミサイルに比べ発射準備時間も短い。ガゼル・ミサイルとの組合せを ABM-3システムと呼ぶ。主要目は,射程 500km,全長 22m,直径 1.8m,発射重量 45t,推進方式3段式固体燃料,弾頭威力 550kt,コールド・ランチ式。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴルゴン」の意味・わかりやすい解説

ゴルゴン
ごるごん
Gorgon

(1)ギリシア神話の怪物。フォルキスとケトの3人の娘ステンノ、エウリアレ、メドゥサをいう。いずれも醜怪な顔を有し、蛇の髪、猪(いのしし)の牙(きば)、青銅の手、黄金の翼をもち、目にはその顔を見た者を石に化す魔力があった。3人のうちメドゥサだけが不死ではなかったため、ペルセウスに首を切り落とされたとき、そこから天馬ペガソスとクリサオルとが生まれたが、これは彼女とポセイドンとの愛の結晶とされる。メドゥサの首はアテネの盾の飾りとなり、またその血はアスクレピオスによって、生命をよみがえらす薬であると同時に生命を奪う毒としても使用された。一般にゴルゴンの頭は、守護の印としてしばしば武具、城壁などに描かれた。

(2)エジプトという地名の起源となりまた50人の息子をもったことでも有名なアイギプトスの、妻の1人。

[丹下和彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ゴルゴン」の意味・わかりやすい解説

ゴルゴン

ギリシア神話の3人姉妹の怪物。複数形ゴルゴネス。その一人がメドゥーサ。西方にすみ,髪は蛇,醜い顔に猪の牙がはえ,黄金の翼をもち,目は人を石と化すことができたという。その居所を守るのがグライアイ。英雄ペルセウスに退治された。
→関連項目

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「ゴルゴン」の解説

ゴルゴン

英国の作家タニス・リーの幻想短編集(1985)。原題《The Gorgon and Other Beastly Tales》。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のゴルゴンの言及

【アイギス】より

…ゼウスは敵に対して実際には右手で雷霆(らいてい)を投げる天空神であり,アイギスは左手に振りかざす〈雷雲〉の象徴と解釈される。怪物ゴルゴンの首と黄金の総(ふさ)で飾られ,ときにはアテナおよびアポロンに貸し与えられた。この語が造形美術では,もっぱらアテナの外衣として用いられる。…

【ペルセウス】より

…困惑した王は娘と孫を箱に入れて海に流すと,箱はセリフォス島に漂着し,2人は島の王ポリュデクテスPolydektēsの弟に保護された。その後,ダナエに恋したポリュデクテスは成人したペルセウスを亡きものにしようと考え,見る者を石に化す女怪ゴルゴンの首を取ってくるようにと彼に命じた。しかし彼はヘルメスとアテナの2神に導かれて,まずゴルゴン三姉妹の姉で,3人で1眼1歯を共有するグライアイのところへ行き,その眼を奪ってゴルゴンの居場所を聞き出すとともに,空を飛ぶサンダル,姿の見えなくなる帽子などを入手,ついで空を飛んではるかな西方のゴルゴンのすみかに赴き,三姉妹のうちただひとり不死身ではなかったメドゥーサの首を,青銅の盾に映る姿を見ながら,切り取った。…

※「ゴルゴン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android