ENIAC(読み)エニアック

デジタル大辞泉 「ENIAC」の意味・読み・例文・類語

エニアック【ENIAC】[electronic numerical integrator and computer]

electronic numerical integrator and computer》世界最初のコンピューター。1946年米国ペンシルベニア大学開発。約1万8000本の真空管と1万5000個のリレーから構成され、水爆実験で使用された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ENIAC」の意味・わかりやすい解説

ENIAC
えにあっく

electronic numerical integrator and calculatorの略称。1946年にアメリカのペンシルベニア大学のエッカートJohn Presper Eckert Jr.(1919―95)とモークリーによって最初に実用化された汎用コンピュータ(電子計算機)。約1万8800本の真空管を使い、消費電力150キロワット、重さ30トンに及ぶ巨大な機械であった。開発の当時は第二次世界大戦の最中で、ENIACが開発された目的は、大砲の弾道計算をすることであった。弾道計算の方程式を解くには、それまで人手で7時間余りを要していたが、ENIACではわずか3秒で計算を行い、弾丸よりも速いといわれた。しかし、そのプログラミングは、約6000個のスイッチ配線盤を用いて行わねばならず、現在のコンピュータの最大の特徴であるプログラム記憶方式(またはプログラム内蔵方式)は、その後に開発されるEDSAC(エドサック)やEDVAC(エドバック)をまたねばならなかった。

[石井 博]

 1939年に試作されたアタナソフ・ベリー・コンピュータ(ABCマシン)を世界最初のコンピュータとする考え方もある。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「ENIAC」の意味・わかりやすい解説

ENIAC【エニアック】

electronic numerical integrator and calculator(電子数値積算計算機)の略。1946年米国のペンシルベニア大学でJ.W.モークリーとJ.P.エッカートによって設計された世界最初の大型コンピューター。米陸軍から依頼を受け,大砲の弾道計算に用いる計算機として開発された。1万8000本の真空管と900kmからなる配線材によって構成され,重量約30t。熟練した技術者が20時間かかる計算を約30秒で計算するという当時としては驚異的な演算速度をもっていたが,十進で演算を行ったり,プログラムをソフトウェアではなくスイッチの切替えや機械的な配線で与えるなど,欠点も多かった。
→関連項目コンピューター

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ENIAC」の意味・わかりやすい解説

ENIAC
エニアック

1946年にアメリカ合衆国の J.プレスパー・エッカートとジョン・W.モークリーによって完成された世界最初期の真空管式コンピュータ。電子式数値積分コンピュータ electronic numerical integrator and computerの略。約1万 8000本以上の真空管と 1500個のリレー,7万個の抵抗器,1万個のコンデンサを使用しており,機械面積 170m2,重さ 30t。入力はパンチカード式,出力はカードまたはネオン表示。スイッチや差し込みプラグで結線して,計算手順をプログラムした。 1946年から 1955年までアメリカのアバディーン弾道研究所で,弾道計算,天気予報,原子核などの計算に使用された。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「ENIAC」の解説

ENIAC

1946年に開発された世界初の電子式コンピューター。計算手順を変更する場合は、本体の配線を手作業で設定し直す必要があった。

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世界大百科事典(旧版)内のENIACの言及

【コンピューター】より

… プログラムを実行するためには,プログラム自体がコンピューター内外のどこかに表現されていることが必要である。黎明期のコンピューターENIACでは,これは手でつなぎ替える配線盤上の配線パターンで表現されていた。しかし,フォン・ノイマンの発明とされるプログラム内蔵方式のコンピューターでは,プログラム自身を二進数で表現し,扱う対象の数と同様にメモリーに格納する。…

※「ENIAC」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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