NFT(読み)エヌエフティー

デジタル大辞泉 「NFT」の意味・読み・例文・類語

エヌ‐エフ‐ティー【NFT】[non-fungible token]

non-fungible token複製偽造の不可能な証明書を付与したデジタルデータ。また、その技術。アート作品など、複製でないことに価値があるものに、それが唯一のデータであることを証明する情報を埋め込んだもの。非代替性トークン

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共同通信ニュース用語解説 「NFT」の解説

NFT

暗号資産(仮想通貨)で使われるブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、複製や改ざんが不可能なデジタルデータ。英語の「Non―Fungible Token(代替不可能な証拠)」の略称で、所有者や販売履歴が記録されることで希少性を担保できる。絵画や画像のデジタルデータが「NFTアート」として売買されることもあり、スポーツ界では昨年に米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平おおたに・しょうへいの画像データが10万ドル(約1440万円)で購入された例がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「NFT」の意味・わかりやすい解説

NFT
えぬえふてぃー

あるものが本物であると、デジタル情報を活用して証明するデータ、あるいはその技術。「かわりのものがない印・証拠」という意味の英語non-fungible token(非代替性トークン)の頭文字からとった略称である。暗号資産(仮想通貨)の基盤技術であるブロックチェーン(分散型台帳)を情報管理に活用することで、作成者、購入者、取引履歴などを記録して所有権を明らかにするとともに、通常のデジタル情報の場合には容易な複製や改竄(かいざん)を困難なものにできる。いわば、それがたった一つしかないことを証明するデジタル版鑑定書である。本物であると簡単に証明できるうえ、仮想空間での取引との親和性が高いため、NFTをつけてデジタル動画・画像を売買する動きが急速に拡大。対象は美術品、スポーツ、アニメ、ゲーム、音楽、放送番組などのデジタル動画・画像だけでなく、唯一性を証明できるため、チケットドメイン、トレーディング・カード、アイドルなどの希少収集品(コレクターズ・アイテム)にも広がっている。

 技術自体は2010年代から存在したが、2021年3月、イギリスの著名競売会社のオンラインセールでNFTつきのデジタルアートが6935万ドル(約75億円)で落札され、世界的に関心を集めるようになった。デジタル作品を売買する「オープンシーOpenSea」「ラリブルRarible」「スーパーレアSuperRare」といった取引所(マーケットプレース)も相次いで登場。NFT情報を提供するサイト「NonFungible.com」によると、2021年のNTF市場は176.9億ドル(約2兆円)に達した。一方で、第三者が作成者に無断でNFTつきのデジタル情報を売買する悪質な例も出ており、作成者や消費者の権利保護、安全に取引できる市場ルールの整備、現実世界を対象とした現行法制度との調整、NTF分野の専門家育成などの課題がある。

[矢野 武 2022年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「NFT」の意味・わかりやすい解説

NFT
エヌエフティー
NFT; non-fungible token

ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)を成立させている電子帳簿技術,ブロックチェーンで発行できる取引記録。non-fungible token(非代替性トークン)の略。ビットコインが現金と同様に代替性があるのに対し,NFTではそれぞれのトークンが日付・座席指定のチケットのような唯一無二のものとして区別される。デジタルアートなどを NFTに埋め込んだり,ひもづけたりすることで,資産的価値を付与できる。2021年にはツイッターの創業者の一人,ジャック・ドーシーの初ツイートの NFTが約290万ドルの高額で落札された。デジタルアートは無数に複製可能で,現実の絵画のように所有権を客観的に証明することが難しかった。アートそのものを NFTに埋め込んだり,ツイートや投稿動画などの存在する URL(インターネット上の所在地)を NFTとひもづけたりすれば,NFTの所有者がオリジナルの所有者であることが定義できる。
これまで,アートの制作者は最初の購入者からは金銭を得られるが,のちに高額で転売されても報酬を得ることができなかった。NFTにすると履歴を追うことができ,転売時の報酬を設定することも可能となり,アーティストの創作意欲にもつながると注目されている。デジタルアートの権利化以外にも,NFTはあらかじめ契約や取り引きのルールを規定しておくことで管理者を不要にする「スマート・コントラクト(自動契約システム)」や,ソーシャルネットワーク・サービス SNSなどを巨大 IT企業などによる中央集権型管理から解放する「分散型アプリケーション DApps」を実現するなど,インターネットのプラットフォームの民主化,透明化に役立つと期待されている。

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