暗号資産(読み)アンゴウシサン(その他表記)Crypto Assets

デジタル大辞泉 「暗号資産」の意味・読み・例文・類語

あんごう‐しさん〔アンガウ‐〕【暗号資産】

crypto-assets仮想通貨暗号通貨)の法令上の呼称クリプトアセット
[補説]2018年にアルゼンチンブエノスアイレスで開かれたG20サミットにおいて、いわゆる仮想通貨通貨特性を欠くとして、通貨と明確に区別するために用いられた語。これをふまえ、日本でも令和元年(2019)5月に可決された改正資金決済法において、暗号資産と称するよう定められた。

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共同通信ニュース用語解説 「暗号資産」の解説

暗号資産(仮想通貨)

インターネット上で取引される財産的価値を持つ電子データ。ビットコインイーサリアムなどがある。買い物に利用できるなど法定通貨と似た機能を持ち、銀行を介さずに交換業者を通じて換金できる。国は価値を保証しておらず、相場変動リスクが大きい。マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されるケースもあり、各国が規制を強化している。

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暗号資産(仮想通貨)

インターネット上で取引される財産的な価値を持つ電子データ。円やドルなどと違って紙幣や硬貨のような実体はなく、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、複数のコンピューターが相互に取引を承認・記録することで信頼性を担保している。取引価格の大幅な変動や悪用が課題となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「暗号資産」の意味・わかりやすい解説

暗号資産
あんごうしさん
crypto asset

暗号資産の意義

暗号資産とは、インターネット上で決済や送金の手段として利用できる特別の財産的価値のこと。従来は、仮想通貨(virtual currency、digital currency)とよばれていたが、法定通貨との誤解が生じることを避け、また、国際的な用語法とあわせて、2019年(令和1)の資金決済法改正以降は、暗号資産(crypto asset)と称されている。暗号資産は、次の性質をもつ特別の財産的価値である。すなわち、(1)「不特定の者に対して」代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(円やドル等)と相互に交換できる、(2)電子的に記録され、移転できる、(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではないという性質である(資金決済法2条5項)。代表的な暗号資産には、ビットコインやイーサリアムなどがある。

 暗号資産は、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いて分散管理される点に特色がある。ブロックチェーンは、情報通信ネットワーク上にある端末どうしを直接接続し、暗号技術を用いることで、改竄(かいざん)するにはそれより新しいデータすべてを改竄する必要があるという仕組みで、データを1本の鎖のようにつなげて、正確なデータの維持を図るシステムである。

 現在普及している電子マネー貨幣価値を電子情報に置き換えて決済する手段)では、通例、利用者の保有する残高や取引を発行者が集中管理する仕組みをとるが、暗号資産は分散管理システムをとる。また、電子マネーでは、利用者が発行者の指定する加盟店のみで使用できるが、暗号資産では、使用先が「不特定の者」であって限定されない。

 暗号資産は、決済や送金の手段として利用できるが、それ自体の値動きが激しいことから投機や投資の対象として取引されることが多い。

[福原紀彦 2021年6月21日]

暗号資産の取引と法規制

暗号資産は、「交換所」や「取引所」とよばれる暗号資産交換業者との間で売買・交換して、入手・換金することができる。また、暗号資産をもっぱら保管・管理するための管理型暗号資産交換業者(暗号資産カストディ業者)を利用することができる。暗号資産の安全な保管と取引のために、資金決済法による規制がある。参入規制として、暗号資産交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた事業者のみが行うことができ、金融庁と財務省財務局の監督を受ける。行為規制として、暗号資産交換業者は、利用者財産の分別管理義務を負い、情報提供義務・利用者保護措置、委託先管理、情報の安全管理、広告・勧誘規制、一定の禁止行為等の定めに従わなければならない。

 ICO(イニシアル・コイン・オファリングinitial coin offering。企業等がトークン〈証票〉とよばれるものを電子的に発行し公衆から資金調達を行う行為)において、暗号資産がトークンとして発行される場合には、資金決済法の適用を受ける。また、暗号資産を原資産とするデリバティブ取引の一形態として暗号資産の証拠金取引が提供される場合には、暗号資産は「金融商品」に該当して、金融商品取引法の規制に服する(金融商品取引法2条24項3号の2)。

[福原紀彦 2021年6月21日]

暗号資産と犯罪防止

暗号資産の匿名性や本人特定事項確認の不十分さから、マネー・ロンダリングやテロ資金供与に利用されるリスクが国際的に指摘され(政府間会合の金融活動作業部会〈FATF(ファトフ):Financial Action Task Force〉勧告、EU第四次マネー・ロンダリング指令、G7エルマウ・サミット、G20ブエノス・アイレス財務相中央銀行総裁会議)、日本では、犯罪収益移転防止法により、暗号資産交換業者は顧客等との一定の取引について本人特定事項の確認等の義務を負うこととされている。

[福原紀彦 2021年6月21日]

『増島雅和・堀天子編著『暗号資産の法律』(2020・中央経済社)』『河合健・高松志直・田中貴一・三宅章仁編著『暗号資産・デジタル証券法』(2020・商事法務)』『渡邊涼介・梅本大祐・柘植寛著『電子商取引・電子決済の法律相談』(2020・青林書院)』『「暗号資産をめぐる法的諸課題」(金融法学会編『金融法研究』第36号所収・p.4・2020)』

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知恵蔵mini 「暗号資産」の解説

暗号資産

インターネット上で取引される「仮想通貨」の法令上の呼称。2019年5月に成立した「資金決済法(資金決済に関する法律)」と「金融商品取引法」の改正法(いずれも2020年4月施行予定)に基づき、「仮想通貨」から同名称へと改められた。円やドルなどの法定通貨との誤認を防ぐため、すでにG20(金融・世界経済に関する首脳会合)などの国際会議では「暗号資産」の呼称が使われていることから、日本でも法令上の呼称変更が行われた。

(2019-6-4)

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