改訂新版 世界大百科事典 「ALCOA」の意味・わかりやすい解説
ALCOA (アルコア)
アルミナム・カンパニー・オブ・アメリカAluminum Co.of Americaの通称。アメリカ最大のアルミ・メーカーで,アルキャン社と並ぶ世界二大アルミ地金メーカーの一つ。本社ピッツバーグ。原料ボーキサイトの採掘から製錬,加工品製造まで一貫生産している。前身は,アルミ電解法の発明者C.M.ホールと企業家A.E.ハントによって1888年に設立されたアルミ製錬会社ピッツバーグ・リダクション社である。同社は設立当初の苦境をメロン財閥の援助で乗り切り(現在もALCOAはメロン財閥の有力な一員),1907年に現社名に改称した。ALCOAは第1次大戦によるアルミ需要急増を背景に,連合国側の軍需資材供給者として工場を大拡張し,その後,戦後不況で経営が悪化していたノルウェー,フランスなどのボーキサイト鉱山や製錬企業を系列下におき,世界最大のアルミ企業へ成長した。28年政府の勧告をいれてカナダの子会社を分離改組した(アルキャン社)ものの,アメリカ国内の地位は不変だったが,第2次大戦下,ALCOAに同社計画を上回る設備拡張要請を拒否されたアメリカ政府は,レーノルズ・メタル社にアルミ製錬工場建設資金を融資し(同社は1940年製錬事業開始),ALCOAのアルミ製造独占体制は終りを告げた。アルミ地金のロンドン金属取引所(LME)上場(1978)以後,アルミは市況商品の性格を強く帯び,ALCOAの価格形成力も落ちているが,新しいアルミ製錬法(アルコア法=塩化アルミ電解法)の開発を続けるなど,技術水準は高い。2000年国内2位のアルミ・メーカー,レーノルズ・メタル社を買収した。売上高235億ドル(2004年12月期)。
執筆者:木村 栄宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報